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7.ナトゥスの不文律1

シロイの生活は前回までの通りです。

では、シロイ魔道具店の利用者でもある、冒険者というのはどんな人たちなのでしょうか。


冒険者が多く集まる場所、『ナトゥス』の様子を見てみましょう。


 


 街の中央を北へと抜ける大通りの突き当たり。

 北街の中央に鎮座し、大通りを邪魔するように東西へと広がる北街最大の建造物。

 それが冒険者寄合所『ナトゥス』である。


 魔物の討伐と迷宮の踏破を支援する国際組織でもあるが、この国は国際連盟には加入していない。

 隣国である帝国と北街の間にある森に発生した迷宮。その踏破を名目として帝国が支援し、『ナトゥス』はこの街に建造された。しかしそれは現場ではどうでもいい話である。


 鍛錬場、解体場、倉庫などを擁する施設だ。

 冒険者が集まり、依頼が集まり、素材が集まる。

 昼夜を問わず人が出入りしており、周辺区画にはそれを目当てにした飲食店や宿屋、娼館などが並ぶ。

 南向きの建物は石造りで、二階部分からは北側に向けた窓。

 迷宮から溢れた魔物が侵攻した際に砦として使う意図もあるが、職員以外にはその認識は薄い。


 一旗揚げるのに都合のいい拠点。端金で飯が食えて酒が飲める店。待っているだけで問題がやってくる場所。

 冒険者たちはその程度に思っており、しかし職員たちはそれを是正する気は無い。

 利益があがり、魔物が討伐されれば問題はない。冒険者たちの行動を監督するような行為は、職員の管轄外である。

 しかし、それでも不文律は生まれる。



「寄合所での殺害、無銭飲食、窃盗は厳禁」


「喧嘩はみんなで盛り上げる」


「職員に手を出したら全員でブチのめす」


「一般人にはなるべく迷惑をかけない」


「職員に迷惑をかけるくらいなら死ね」


「冒険者同士の迷惑なら勝手にやれ」



 そうした不文律は、この寄合所に出入りするうちに身についていく習慣のようなものだ。

 そのため、新米冒険者などには馴染みが無い。それを身体に教え込む、自称親切な先輩も当然いる。

 鎧騎士を片手で投げ飛ばすほどの筋力を誇る男、剛腕のマンボもその一人である。




 そして、彼は『ナトゥス』に新たな不文律を生み出してしまった。





『ナトゥス』はいわゆる冒険者ギルドではありません。

冒険者の身分を保証しませんし、彼らの保護もしません。

冒険者とはお互いに利用しあう関係の団体になります。


集まっているのが冒険者でも犯罪者でも、基本的には気にしません。


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