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67.救援活動2

迷宮の崩落という噂を基に、シロイは『ナトゥス』を訪れるようです。

さて、『ナトゥス』では迷宮の崩落情報をどのように扱っているのでしょう?

 


 主要な稼ぎ場である迷宮の崩落は、冒険者寄合所『ナトゥス』にとっても大問題である。


 もし迷宮探索そのものが不可能になれば、そこから得られる資源が途絶えるだけではない。

 それを飯の種にしている冒険者たちが路頭に迷う。

 それは不心得者が犯罪者へと転じる充分な理由である。出入りの冒険者から犯罪者が出ることは珍しくはないが、今回は規模が違う。

 下手をすれば冒険者全員が略奪者へと転向しかねない事態。

 それはこの街が略奪と虐殺によって崩壊しうるということであり、周辺の街にもその被害は拡大することも容易に予想された。


 他の街に被害が出るという可能性。

 その中に国族が支配する国街があることが最大の問題だ。

 もしそれが国族の気に障れば、この街は一瞬で消滅するだろう。

 かつて帝国と王国の紛争地域だったこの地域に川をひき、森を作った化け物。

 生み出される恩恵が大きい分、その危険度が高いことを『ナトゥス』の首脳陣は理解していた。



 結果、『ナトゥス』は即時に迷宮の調査へと乗り出している。


 出入りをしていた者たち全員への緊急依頼として発布されたのは、いくつかある。

 現在の迷宮の地図製作。

 迷宮に出入りしていた冒険者のリスト化。

 その冒険者たちの直近の同行、及び生存確認。


 出入りしていた者たちは冒険者だけではなく、犯罪者と呼ぶほうが正しい者も多くいたが、誰もが協力を惜しまなかった。

 協力しない場合には『ナトゥス』内の飲食利用を禁じたためである。

 専門の飲食店よりも格安で食事ができ、酔いつぶれても喧嘩しても怪しげな取引をしても通報されず苦情も出ない場所だ。

 普段は酔ってふざけているばかりの者たちも不平不満をたらしつつも、今回ばかりは重い腰を上げて対応している。


 それはこの街に『ナトゥス』が出来てから初めての大規模な活動だった。


 元々、犯罪者が出入りすることも容認しているため、所属登録などの管理も雑。

 団体名と人数、代表者の名前と風体程度しか登録管理はしていない。

 互いの顔は知っていても、それが迷宮に入る冒険者なのか、あまり分かっていない者がほとんどだ。



 そんな環境下で頻繁に新人にちょっかいを出し、同業者にからかわれ、先輩達に可愛がられている男。

 職員よりも冒険者の大部分について面識と知識を得ている彼のことを、人は『まばゆいマンボ』と呼ぶ。


 彼は必死になって迷宮に出入りする冒険者たちの人相風体を含め、そのメンバーや動向などの行方を辿れるように普段の行動内容を書き出していく。

 その情報を基に安否確認のために行方を捜して、同業者たちが慌ただしく出入りしていた。



 そんな状況を分かっていないのか、素人以下の邪魔な存在が『ナトゥス』に現れた。


 具体的に言うのならば、今『まばゆいマンボ』が首根っこを掴んで持ち上げている少年がそれだ。

 まるで野良猫のように摘み上げられた彼は、手にした杖を振るっているものの、何の効果も上げられていない。

 それどころか、ついには取り上げられてしまった。

 周りにいる冒険者たちが、「ついにマンボの復讐が始まるのかー」などと棒読みをしてからかっている。


 苦々しく引きつった顔で、マンボはシロイをカウンターへと運んで行き、そこに座っていた受付所へと押し付けた。




「独房なり厨房なり、好きなところに片付けとけ!」




 そう怒鳴りつけて背を向ける。

 調査途中の迷宮へと一人で侵入すれば、命の危険もあることを踏まえての行動だ。

 人相や態度は悪いが、面倒見の良い男だからこそ、冒険者たちから愛されてからかわれているのだ。

 本人はその扱いに全く納得していないが。



 そして、シロイもまたお荷物扱いに納得していない。

 だがそれ以上に手荷物扱いされた事実に不貞腐れていた。






マンボは新人相手に先輩風を吹かせるだけの実力があります。

対人戦闘、対魔物戦闘、多対一なども一通り行えます。

シロイは道具なしで正面から戦うという経験は少ないので、冒険者としての地力は低く、正面からマンボを相手にしては手も足も出ません。


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