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61.営業再開1

住み込み仕事が終わった後、シロイが自分の店に戻ったようです。

さて、連休をとったことでシロイ魔道具店には何か影響はあるのでしょうか?

 


 演劇場『シャトレ』の仕事を終えて、中休みと仕入れを行った翌日。

 本来予定していた営業再開日だったが、シロイ魔道具店は営業再開ができなかった。開店前に店外の掃除をしていたところを巡視隊に抑えられたためだ。


 彼らの用事は、店主であるシロイへの聴取だった。

 未遂とはいえ放火された後、初めて姿を見せたことも理由だろう。実際に仕事現場を確認できていなかったため、誘拐なども懸念されていたようだ。

 しかし詰所に連行されるわけではなく、店の裏側に残ったボヤの跡へと案内されて経緯を説明された。

 普段の現場の状況確認や、犯人の心当たりがあるか。その程度のざっくりとした聴取。手を抜いているわけではなく、被害者側よりも実行犯側を追い詰めているだけである。


 もちろん、シロイには心当たりなどない。


 店の裏側から戻ってきたシロイは、巡視隊に聞き込みをされている隣家の住人へとあいさつをするが、引き攣った笑みを返された。

 珍しく巡視隊が多い状況が放火騒ぎの不安を呼び起こしたのかもしれないと、手早く終わらせようと巡視隊の聴取へと向き直る。

 なお隣家の住人が戦々恐々としているのは、その別口の放火犯に先を越されていなければ、ボレス一家の指示によって彼女がシロイ魔道具店を全焼させていた予定だったためであるが、シロイには気づきようもない。



 それよりもシロイが気になったのは、いつの間にか通りに集まっていた集団である。

 よく来店していた冒険者の姿も多く開店待ちかとシロイは思ったが、見慣れない人も多い。彼らは冒険者というよりは演劇場『シャトレ』のスタッフのような作業者に見えた。

 最近は血溜まりもあまり見なくなったが、昔は通り魔に刺された死体があったこともある舗装も掃除もされていない通り。

 そんな通りで何をしているのか、彼らは殺気立って巡視隊を睨みつけている。



 隣家と同様に聴取を行なおうとしたようだが協力的ではないらしい。舌打ちして睨んでくる集団に、巡視隊も苛立っているようだった。

 巡視隊が普段来ない場所であり、シロイ自身には後ろめたいところはない。巡視隊がうろつくのが気に入らないのだろうかと、シロイは内心で首を傾げながら巡視隊の指示に従い、質問に答えていく。

 店扉を開けようとしたのは、その途中だった。



「放火以外、例えば盗難や強奪の痕跡がないか、店内の確認もさせて貰いたい」


「いくら隊士だからって割り込みしてんじゃねぇぞ!」



 店内状況を見せようとしたシロイの手が、響いた怒号で止まった。

 集団が発した言葉はシロイ魔道具店の開店待ちであるとしか思えなかったが、シロイはすぐにその考えを否定した。

 開店前に三十名近い集団が待つことなど、今まで一度もなかったから。






真面目に仕事をしているだけでキレられるって、結構な理不尽だと思いませんか?

キレてる理由は次回。

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