表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/123

39.『資金屋』4

借金返済に来たはずのシロイは、何故か『資金屋』の最上階に案内されました。

さて、誰が何のために、彼を迎え入れたのでしょうか?

 


 階段を上がると普通の家のような板張りの廊下だった。

 周りを見ても、普通の民家をそのまま置いたような、華美なものがない光景。そこで階下へと繋がる階段の手摺だけが金の蛇の頭を向けている。

 正面にある扉を開けて、そっと中を伺うシロイに穏やかな声がかかる。



「遠慮なく入りたまえ。シロイくん」



 恐る恐る扉をくぐり中へと入ると、そこは簡素な部屋だった。正面奥にある窓付の扉までの距離は彼の店より狭い。

 窓越しに薄紅色の花をつけた木が見える狭い部屋には、それ以外には飾りらしい物はない。

 あるのは小さく足の長いテーブル、それに向かい合うように置かれた二脚の椅子。それだけだ。


 その右の椅子に座り、長い足を組んでシロイを見つめているのは、黒髪を油で後ろへと撫で付けた男性。



「ようこそ、シロイくん。私はボレス。この『資金屋』の屋主で、カリアの父だ。会えて嬉しいよ」



 その親しげな声音に安堵したシロイは、しかしボレスと視線を合わせて背筋が寒くなるのを感じた。


 仕立ての良い灰色のスーツに黒いシャツ。僅かに上下する胸筋は呼吸のリズムに合わせて動いている。

 そこから覗く首はたしかに人間だと確認できる。

 しかし端整な無表情が彼を見つめており、その視線は人形のように感情が感じられない。

 口から洩れる声音が親しげな分だけ、余計にボレスの人間味を奪っている。


 それでも観察すれば、口周りの皮膚や肉の動きは人間のそれだとシロイは確認できた。

 意図的に表情を殺しているのかもしれないと、シロイは自分を落ち着かせようと心掛けてボレスを見る。



「不出来な娘が随分と親しくさせて貰っているそうだね。迷惑をかけていないかい?」



 だがボレスが口を開くたびに、背筋が寒くなるのを抑えられなかった。







『資金屋』の家主ボレスが現れた。

 戦う

 話す

 アイテム

→逃げる


そのコマンドは現在使えません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ