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28.シロイ魔道具店の繁盛5

客ではなく巡視隊が来店したシロイ魔道具店。

シロイの師匠であるトロイの作品について尋ねられましたが…?

 


 シロイの顔が曇るのを見た隊員は全く表情を変えず、彼を見つめ続けている。




「すいませんが、『投光器』という魔道具には心当たりがありません。トロイの作品ではないと思いますよ」



 いつもの笑顔に戻そうとしても、わずかに強張っていると自覚しながらシロイは答えを返した。

 実際には『投光器』はトロイの作品である。

 だが彼にはそれを肯定できない理由があり、またその説明もできない。

 その事実と、その時の記憶がシロイの顔を普段の笑顔にさせなかった。



「そうか。ところで先日、この店に来た時に営業していなかったが、どこにいた?」



 しかし、まるで答えがわかっていたように彼は質問を繋げた。

 その質問の意図がわからないまま、シロイはそれた話題に首を傾げて思い返す。



「5日おきに休みを取っているので、その日でしょうか? 前回の休みの日は朝から森で収集作業をして」


「その前の休みは?」



「……朝から迷宮に入ってました」


「証明できるか?」


「えっと、入口の兵士さんには出入りの時に挨拶してますけど……何かあったんですか?」



 瞬きすらせずにシロイを見たまま、質問を重ねる隊員。その様子に不安を覚えたシロイは、質問を返した。

 迷宮内で襲撃されて返り討ちにしたのは、その日だ。お互いさまということで貰える物をもらったが、シロイにはそこに関しては罪悪感もない。

 誤作動を起こしたように隊員が固まり、シロイを見たままで沈黙する。言葉を探しているのだろうか、体がわずかに左右に揺れて、口を開きかけては閉じるのを繰り返す。

 なんとなくシロイも沈黙して目をそらなくなってしまい、そのまま見つめ合う。


 この隊員は真面目で不器用なだけなのかもしれない。そう思うと少し好感が持てたシロイは、お茶でも出そうかなと考えながら、言葉が整うのを待った。

 奇妙な沈黙が店内を満たし、しかし来客を告げる扉の開く音で掻き消される。



「あらぁ? シロイちゃんイイトコロだったかしら?」



 来客は近所にある娼館に勤める人物だった。

 纏っているのは半ば透き通る紫色のベビードール、ピンクのガーターベルトとロングソックス。ふわふわした綿状の飾りが股間部分を隠しているが、それは足で挟んでいるだけらしく紐がない。

 娼館で客を取るスタッフたちの揃いの衣装であり、店にたまにその格好で来店するためシロイは目のやり場に困ることがある。


 おそらく仕事の途中で買い出しに来たのだろう。

 その見事な肢体に似合わぬ媚びの強い口調に、シロイは苦笑を返し、隊員は目を瞬かせた。





問い合わせた魔道具について、知らないと言われて話が彷徨っているような?

それともアリバイ確認をしにきたような?

いまいち行動がよくわからない巡視隊ですが、お客さんが来ているのでそちらの応対も必要です。

どうやら常連さんが来店したようです。どんなお客さんでしょうか?

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