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14.迷宮に潜る者たち4

冒険者たちが生活の糧を得ているメインの場所、『迷宮』を見ています。


久しぶりに主人公がでてきました。その様子を見ています。

 



 彼の店からでも二時間ほどでたどり着ける、浅層浅部から至れる中層の袋小路。

 浅層よりも少し均されている程度の道を進んだ先の小部屋だ。

 部屋へと至るまでの道が狭く、あるのも草まみれの部屋一つの道は、再来する冒険者はほとんどいない。


 唯一の見どころとしては、天井付近の空間が僅かに欠落ちたように、青い光をこぼしているくらいか。


 浅層と中層の継目にもあるような空間の繋がり。

 しかしここでは登る手段もないし、その穴も通るには小さくて魔物さえ出てこない。


 冒険者たちにとっては行き止まりのはずれ道。

 しかしシロイにとっては、迷宮内でありながら森で採れるようなハーブが群生している場所であり、迷宮の構造を思索させる興味深い場所だ。



 五日おきに一度の休店日を設けて、彼は資材調達のために街の外で採取を行っている。迷宮探索もその一環で、作成した魔道具の試用も兼ねていた。

 とはいえ彼の地力は低い。大型の魔物相手では戦う術もなく、そうでなくても基本戦術は不意打ちだ。

 魔道具をいくつも活用し、天井で息を潜めて他に注意を寄せて一撃で気絶させるのが彼のやり方だ。

 そんな風にして現れることが『迷宮精霊』の所以だとは、当然わかっていない。



 しかし、薄く青付いた光が差し込む花畑に腰をおろし、花を摘む姿は確かに精霊じみていた。



 よく見れば一応冒険者らしい格好をしている。腰まである薄いローブ。指先の開いた長手袋。胴体から腰まわりを隠す服の生地は厚く、革で補強してある。丈夫そうな膝上まであるブーツにも革が縫い付けられている。その全身を覆うようにかけられた薄い羽織布はぼんやりと紫の光りを漂わせている。


 羽織布が光っているのは、『光る足跡』の副産物だ。光る魔力水を濾すのに使った布が光っていたので、試しにつけおきした結果である。魔力を流している間だけ、微かに光をなびかせる。しかし彼のように魔力総量を増やした者でないと実用に向かないため、製品化はしていない。



 採取したものを背負鞄にしまう彼は満足気だ。

 他にも採取した品や探索に使う道具が入っているのだろう、背負鞄二つ分ほどが入りそうな個人用荷引車が壁際に置かれている。身を守るための杖は反対側の壁に立て掛けたままだ。

 天井にある空間の穴以外に目を向ければ、部屋としての枠が整っており、壁も一枚岩のように滑らかだとわかる。

 朽ちた戸板の残骸が落ちている先は彼がここに来た道だ。天井にある空間の穴を除けば、それ以外に出入り口はない。





 そんな袋小路にいる、美味そうな餌。

 それを見つけたものが取る行動は限られていた。








カリア「……美味しそうな餌」

シロイ「!?」


にげてー。シロイにげてー。(棒)

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