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109.シロイの魔道具1

シロイをオモチャにして、ピトムのお遊びが始まります。


 


 部屋の中を飛び回る魔道具は、どれもシロイが作成した物だ。

 それは店舗で販売されていた物の予備在庫もあれば、販売不能として保管していた物、シロイ本人が使っている個人用の物もある。

 組立式の空間魔術陣は消失したが、雑多な魔道具はどれもまだ壊れていない。

 ピトムが意図的に壊さないようにしているのだ。

 シロイが追い込まれて絶望するように。

 それをカリアに見せて、絶望させるために。

 彼にとって、この二人は久しぶりのオモチャでしかない。

 シロイの魔力では、自分を傷つけられないとわかっているため、ピトムは存分に遊ぶつもりでいた。



 だがそもそもシロイの魔道具に、他人を傷つけるための物はほとんどない。

 ほぼ唯一と言えるのは【発雷】の魔術陣。それでさえ一時意識を失わせる程度の威力しかない。

 シロイ自身が構築できる魔術陣も、日常生活を補う程度だ。


 彼が作り出した【製湯】の魔術陣がお湯を生み、手にした『うにうに』を濡らす。

 両端にある回転機構を丈夫な縄でつないだ魔道具は、相手に絡んで捕縛するための物だ。

 しかし縄を引きちぎろうと引っ張れば、回転機構に内蔵した【発雷】が作動する。

 それを投げつけないのは、ピトムから溢れ出て部屋中に流れ続けている魔力のせいだ。

 投げつけたとしても、絡みつく前に吹き飛んでしまうだろうし、巻きつく前に消されるかもしれない。


 だから、シロイはそれを手にしたまま、ピトムへと走り出す。


 そのつもりでいた足が、踏み込んだ瞬間に萎えた。

 『うにうに』を繋ぐ縄が、ピトムが指先を向けただけで切れていた。

 【製湯】から流れ続けているお湯が『うにうに』の縄を辿り、ピトムの魔力に煽られて舞う。



「おぉやぁぁ? シロイぃ。そのオモチャは壊れているなぁぁ?」



 ほぼ唯一の攻撃手段がなくなったシロイに、楽しげな声が飛ぶ。

 その声にも魔力が込められていたのだろう。

 まるで蹴り飛ばされたように、シロイの身体が紫の魔術陣へと打ち付けられた。

 衝撃で手から離れた『うにうに』の残骸が、砕かれて撒き散らされる。



「さぁぁ、次はなぁんだぁぁ? シロイぃ?」



 むせ返りながらも顔を上げ、シロイは再び魔道具へと手を伸ばす。






シロイは どうぐ を つかった。

しかし その どうぐ は こわれている!

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