永遠に片想い。
好き。
気がついた時には好きだった。
一番近くにいて、いつでも同じものを感じていた。
隣にはいつも君がいて笑っていた。
どこがとかじゃなくて、君が好き。
成長は無情で、いつも見ていた横顔は、一歩離れないと見る事も出来ない。
当たり前の様に手を繋いで通っていた駅までの道。
並んで通う事も出来ない。
一歩離れて、一歩下がって、、
私の知らない男の背中。
人伝てに彼女が出来た事を知る。
何も話してくれないんだね。。。
君より少しだけ遅くに家を出て、背中を見ながら歩く日々で良かった。
どんなに想っても離れた手を繋ぎ直すことは出来ないのだから。
君が好き。
思うだけなら許される片思い。
物干し竿に並んで風に揺れるSとL。
優越感。
些細な事が幸せ。
けれど、
知らない事が増えていく。
知りたくない事が増えていく。
彼女と繋がれた手。
君より電車1本分早く家を出る。
玄関に揃えられた彼女の靴。
「お口に合うかわからないけど良かったらどうぞ」
ブラックのコーヒーと
少し嫉妬の手作りケーキ。
君が好き。
それだけが変わらないまま、春にはお互いスーツを纏う。
「遅れるぞ!」
慌てて家を飛び出す。
「背高いね」
「はぁ?何今更」
「並ぶの久し振り」
「たしかにな!」
双生の弟。
「マジ遅れる!」
不意に掴まれる手。
「走るぞ!」
君が好き。
読了ありがとうございます。