関所
なんだかんだで5ヶ月ぶりの更新でした。
待ってた方、すみませんでした。待っててくれてありがとうございます。
物乞いカトプレパスを退けたリバティとパスは、更に道を進むと前に関所が見えた。そこに守衛が立っていて、通す者を選んでいた。
「あそこに誰かいるわ」
守衛の前に、調理用具を背負った男が立って、話していた。
「頼むよ、入れてくれよ」
「ならん」
「どうしてだよ」
「お前はもう死んでいる」
「死んでたらダメなのかよ」
「死んだものがこの先に入れば、余計に災いを招くのだ」
「弱ったな」
首に手を添えて、男は困り果てていた。自分が何故死んだのかは彼の知るところではなかった。
「あの…」
リバティは男に声をかけた。
「はい」
「話が聞こえました。あなたは死んでいるそうね」
「それが何か」
「いえ、私は元々死んでいた人形でした。それが誰かの計らいで、魂を持ちまして、こうして旅や探検をしているのです」
「へえ、そうか」
「なぜ、あなたは静かにならないのですか」
「死んで、はいそうですかっていられるかい。おれは料理レシピを作る途中だったんだ。まだ、その料理を振る舞っていない。わかるかい、生き甲斐を奪われて、黙ってる訳にはいかないんだよ」
リバティは、パスを見つめた。パスは溜め息をついた。
「インバイトは、死にきれない人をこうやって迷い込ませもするんだよ、それほど、黙って死ぬにはいられないくらい、生きるってのは固執するんだな」
「彼を通すことはできないの?」
「うん。更にこの世界で生きてるものを死なすわけにはいかないからね」
「それじゃあ、どうしよう」
「君が彼の料理を代わりにいただくかい?」
「人助けになるってこと?」
「まあ、そうか」
リバティは、男に代わりにここで料理をしてみてはと提案をした。そのための食材はこちらで調達してみると。
「そうかい、そりゃあ助かるな。じゃあ、竜光草という野菜と、落城茸というキノコをお願いできないか、あと…」
次に男が話をする寸前、守衛の槍が男を突き刺した。
「うっ」
男は膝をついて、地面に倒れた。リバティは驚いたが、パスの目は冷ややかに彼を見ていた。
「どうして」
リバティは守衛に尋ねた。
「死んでいる者は静かにならないとなりません」
「ねえ、リバティ。インバイトが招いても、彼らは見逃さないんだよ」
守衛が構えた槍には男の血はつかず、綺麗なままだった。
「彼の望みを叶えてもよかったのでは」
「そう、思うのは自由です。ですが、我々はそれを許しません」
「どうして」
「そう決まっているからです」
守衛は、腕に着けている時計のスイッチを押すと、倒れた男の周りに小人達が駆けつけてきた。
「忙しや、忙しや」
小人達は、男の体の上に反射する粉をぱらぱらと巻くと、一斉に指先からぱちっと鳴らして、火の粉を出し、その火が炎となり、男を燃やしていった。
「あなたたちはどうしてそんなことをしているの?」
小人達は振り返らずに、一斉に答えた。
「それが僕たちの役目だから」
そして、男の彷徨う魂が見事にいなくなるとそうそうととんがり帽子を被った小人達は立ち去っていった。
「さあ、行こう」
パスの言葉に、リバティはまだすぐには応えられず、躊躇していた。
「誰が決めたの?」
「さあ、私もそうするように先代から教えられたまでなので。あなたたちはどうぞ、自由に通って下さい」
苦い表情をしたまま、リバティはこの関所を通った。その顔を見て、パスは説得するように話した。
「見ている人は、ハッピーエンドを求めるだろう。たが、ものごとがハッピーエンドとは限らないし、ハッピーでないエンドこそハッピーエンドかもしれないよ」
「見ている人って?」
「あの魂や守衛の話を聞いていた僕らのようなね」
「なんだかよくわからないわ」
「認識の外にあることは幾らでもあるさ、そのとき、認識の範囲内で考えるのか、思い切った視点から見るかどうすべきかは僕もわからないんだけどね」
「インバイトもわからないのかしら?」
「そうかもね」
こうしてリバテイとパスは関所をあとにしたのだった。




