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続きを書きました。宜しければどうぞ。

いつも読んで下さりありがとうございます。



とらねこは王子の部屋に入り、ベッドの上に座った。尻尾も体もリラックスできて丸くなった。

王子はずっと横になっては体が鈍くなってしまうので、部屋のなかで体を伸ばしたりと体操をし出した。

「君もやりなよ」

ウェイブは誘いに応じて、ベッドの上ではあるが、両手を前に伸ばして、背中を前に倒しぐっと伸びをした。ウェイブは王子の体操が終わるまでそのまま待っていた。普段、方々歩きまわる猫に取ってみれば、体が鈍くなるというのは考えられないことだった。

「さてと…」

一通り体を動かした王子は部屋に置かれている椅子に座り、体の向きをウェイブに向け、語り始めた。

「君も知ってるとおり、私には死者の霊が時々憑依してくることがある、私の場合は魔法使いの影響があるけれども、世界には同じような能力を予め持っている人もいるのは聞いたことあるよ。さっき、君が連れてきた靴職人のヴァリー、彼の亡くなったお父さんも一度僕のところに来たことがあったんだ」

「病気で亡くなったってヴァリーからは聞いてたぞ」

「そうだね、でもお父さんからしてはもう少し長く生きたかったみたいなんだ、志半ばでってのは不本意なのだろうね、お父さんは何よりもヴァリーのことが心残りだったんだ、取り乱すことなくこのお父さんは冷静だった。意識がある肉体が自分の体ではなく私のような別の人の体だというのに気づくと、私に話しかけてきたんだ。自分には家業を継ごうと修業を積んできている息子がいるんだと、けれど、自分の仕事自体今は工業化と効率化が優先で先の安定が保証できないと。今は多国籍で展開する企業が労働賃金の安い国々でものづくりさせたほうが、遥かに安くいい質の製品を作ってくれると。だから自分がいなくなったあとで取引先が手の平を返すこと、わかってたみたいなんだ。それでヴァリーの靴を買い取ってくれるところを探していた。お願いだから、彼の力になってほしい。そう頼まれてお父さんは私から抜けていったよ」

「もうヴァリーはお父さんには会えないのか」

「そうかもね、お互いが思っているのに直接会うことは稀なんじゃないかな。もっともヴァリーの心や頭の記憶のなかで亡くなった人達は留まり続けているかもしれない…私だって、ほらその壁掛けの写真に私たちが写ってるでしょう。私と王様とその横に写ってるのが王女様さ」

 ウェイブは壁掛けの写真を見た。一枚しか掛かっていない写真には、三人の写真が写っていてた。三人は貴族というよりは、ごく一般の市民のような服装だった。三人とも優しく微笑んでいた。

「私はその二人の実の子ではないのだけど、二人は私を養子に迎えて大切に接してくれたんだ。でも、王女様いやお母様は病を患ってこの世を去ってしまった。私たちはお母様にはもう会えないけれど、でも心にはそばにいてくれている、そういうものさ」

「そうだったのか…」

 ウェイブはまた知らされぬ王子や王の悲しみを知って、表情を曇らせた。

「ごめんね、気を遣わせてしまったみたいで。話を戻そう。それでヴァリーのお父さんの願いを聞いた私は、体調のいいときに魔法使いの家に行ってきて相談したんだ。実際にインバイトはヴァリーの様子を見てきて、彼が苦境に陥られてることがわかってきた。それで、ウェイブにヴァリーを連れてくるようお使いに行かせたってことさ」

「でも、彼が断ったらどうするつもりだったのさ」

「その可能性はあるよね、未知のものには好奇心はあるけど、騙されたり痛い目を見てきたら警戒心も抱くものだしね。その場合は、インバイトは次の手を考えるだろうね、もし私が魔法使いと同じ立場だとしたら、靴作りを望んでいる人を探してその人とヴァリーを会わせるかな。そういった機会を見つけることもなにか手段がないと難しいものだろうしね」

「そうか、ヴァリーがここを気に入ってくれたらいいな」

「私は君にもこの王国を気に入ってほしいけどね」

「居場所を与えてくれたんだ、感謝しかないよ」

「そうか…よかったよ」

 次第に王子は思いつめた表情になった。ウェイブは心配になって椅子に座ってた王子の膝の上に飛び乗った。

「ありがとう。私はね、ずっと孤独ということについて考えているんだ。人はね、必要とされたり、居場所を感じないと生きている心地がしないことがあるのだよね、私は王様や王女様に拾われる前には実の親に見限られている。愛情を与えてくれる人や気づかってくれる人がいることがどれだけ恵まれたことだろうと思う。君の来た国、日本では子供を授かってから、別れてしまう家庭も多い。お互いの覚悟が足りていない…残念に思うよ。それに大人になってからも孤独という問題は消えない。誰が信頼おける友なのかという問題じゃなくて、私たち人間はお互いに声を掛け合う必要があるんじゃないかって思う。孤独に辛くて命を落としてしまった声を聞いているからそう思ってしまうのかもしれないけど…どうすればいいかは模索中だけどね」

「王子さん、あなたのような人がいるなんて知らなかったよ。おれにとっては飼い主が小さな世界だった。でも、人は変わってしまうと居場所が危険地帯に変わってしまった。王子さんのようには考えられないけど、俺は王子さんのそばに厄介になるよ」

「そうか、宜しくね」

こうしてウェイブは王宮で暮らすことになった。





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