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002 釘バット炸裂

002 釘バット炸裂



釘バットを持っている人を見かけたらどう思うだろうか。

ヤバイ人だと思うだろう。

俺もそう思う。だから、装備している。


この国で一般人でも労力無く手に入るものだと、斧やハンマー、刺身包丁などが武器になるだろう。

野球バットもその一つだ。

それに細かい釘を打ち付ける事によって威力も見た目の凶悪さも増す。


これを使ったのは3回。

威嚇した事は無いが、わざと持って歩いて、頭おかしい人のふりをした。


どういう事かというと、この団地には外国人が多く、その友達の友達に悪い人がいたりして、同郷のやつをカモりに来る事があるのだ。

海外で同郷人同士仲良くするなんて夢物語だ。

せっかく海外に移り住んでも、同郷の悪人が居たらやはり搾取される。


団地は巨大だが、入居者数は少ない。

中央公園でブラジル人がパーティーを始めると、ワラワラとみんな集まって来て顔見知りになる。

インド人がスパイシーな味付けをしてくれて、鶏肉パーティーが始まる。

入居しているインド人がヒンドゥー教徒かどうかは誰も確認してない。しなくていい事はいっぱいある。


みんなでワイワイ騒ぎながら肉や野菜をつつき、南米や東南アジアのどこかから来た住人たちも何やら手製のタバコを吸っている。

どこの銘柄かなんて深く突っ込んではいけない。


そんなわけで、正直、言葉がちゃんと通じているかも怪しいけれど皆んな仲良しなのだ。

アパートがボロ過ぎて、マジで稼いでいるような悪人がいないというのも良い。



ーーーー



下の階のブラジル人女性、ガブリエラさんは、日本人好みの美人だ。

年齢は20才(自称)

細身だが、おっぱいもおしりもプリプリしている。

ウエーブのかかったの艶のある黒髪に、顔も割と薄め。

詳しい話は聞いていないけれど、もしかすると日系移民の子孫かもしれない。


彼女は基本的にコンビニの店員で、週1、2ぐらいで外国人パブで働いている。


この団地のマドンナだ。



そんなガブリエラの悲鳴が聞こえた俺は、なんか変な客が押しかけて来たのかと釘バットもって飛び出した。



が、たどり着いてみたら、廊下で悲鳴をあげながらヨロヨロ走るガブリエラと、その後ろを追う緑色のもの。

ゴブリン。


実物初めてみたわ。


「まーしー」

ガブリエラが俺の姿を見て名を呼ぶ。

俺、マサシなんだけどね。

外国人には意外と発音しにくいらしくて、皆んなからマーシーと呼ばれている。


それよりも……


ガブリエラはTシャツと…… なんか、Gパンがひざ下までずり下がって、パンツ丸見えである。

それで、ヨタヨタと走っていた。


まさか、レ◯プ未遂…… じゃねぇなあれは。

なんとなくわかったけど、話はあとだ。


「ガブリエラ! 俺の後ろに!」


ヨタヨタと走ってきたガブリエラが、俺の後ろに回る。

ゴブリンに追いつかれそうだったが、間に合った。


ゴブリンは頭から血を流している。

多分ガブリエラが抵抗したんだろう。おかげで時間が稼げて俺が間に合った。



モンスターを見つけたらどうするか。

普通は通報だ。

しかし、この状況でスマホ取り出して「もしもし警察ですか」はさすがにアホの子だ。


「うおおおおお!!」


俺は釘バットを振りかぶり、一撃!

フルスイングがゴブリンの側頭部に直撃した。

元から脳震盪でもしていたのか、ゴブリンは釘バットに反応できなかった。


思っていたよりも重い音が響き、ゴブリンが吹っ飛んだ。


狭い廊下の壁に当たって、地面に転がる。


浅い!!


実際に釘バットで誰かを殴った事なんて無い。

当たれば刺さると思っていた。

ゴブリンに当たった部分の釘はドロドロの肉片やら何か毛とか絡みついているけれどへにょへにょにまがってしまっていた。

肉、皮は裂けたが頭蓋骨が割れなかった。


軽過ぎるんだ。


確認されているゴブリンの平均身長はおよそ120cmほど。

体重も相応だ。

相手に威力が十分に伝わるための重量が無い。


廊下に転がってピクピクしているゴブリンに駆け寄り、さらに何度も釘バットを振り下ろした。

釘バットと威力を逃がさない床のコラボでやっとゴブリンの頭を砕く感触があった。





俺はとりあえずガブリエラさんを連れて自室にもどった。


「トイレ入ってたラ、きた」

ガブリエラの話によれば、トイレで、ちゃんと出した後、パンツを上げて、ズボンをあげようとしたところで、ゴブリンがドアの隙間から顔を出したらしい。

彼女の部屋のトイレのドアは壊れていて、事故を防ぐために中にいるときは少し開けていた。

これが良かったのか悪かったのかわからない。

閉まっていても外に出た途端襲われたかもしれない。

トイレに閉じ込められてジリ貧だったかも。


ともかく、彼女はトイレの芳香剤をぶん投げ、トイレに常備してあった灰皿(彼女は隠れて吸うタイプのヘビースモーカー。ストレスやばいんだろう)でぶっ叩いて、逃げた。

そこに俺が駆けつけた。


間に合って良かった。






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