4.放課後
そして、騒がしい学校が終わり、やっと平和が訪れると和気藹々と下駄箱に向かった私の前に。
「紗代♪一緒に帰るぞー♪」
その高まったテンションを瞬時に地底まで落とすような――今絶対に聞きたくなかった声。
「…げ、越高――」
「キャー越高君♪」
何故皆こんな奴がいいんだろう??
一緒に下駄箱まで来た友達の反応がイマイチ信じられない。
一瞬で越高を取り囲む。
「越高君、どっか遊びに行こうよ!」
「今からカラオケでもどぉ?」
「…(以下略)…」
こんな如何にも遊んでそうな輩の何処がよいのだろうか…。
(ってか、皆目が本気だし…。高校生ってこんなもんなのかなぁ…)
行ってくれた方がこちらとしては楽なので。
「よかったじゃん、行ってきなよ」
と、ニッコリ笑顔付きで。
「んー、紗代は?行く??」
「え、私は…――」
『もっちろん行くわよっ!!』
――行かない――と続くはずだった言葉を黄色い声にかき消された。
え゛、あの…今の私じゃないんだけど…皆勝手に…――。
『ね?紗代!?』
今私に向けられてるのは猛禽類の目だ…。
若干脅しまで感じられる視線に…。
「…ぇ…、あ、はぃ…」
私はこれ以外の答えを持たなかった。
皆の視線だけで殺されてしまいそうだし…、私だって命は惜しいから…。
しっかしあまり乗り気ではないので、越高に【断れ】オーラを送ってみる――。
「なら行こっか」
――が、全く届かなかったらしい。
渋々半ば連行される形で駅前のカラオケまで連れて行かれることになったのである。