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36.選択肢

示し合わせた訳でもないのだが、ゴールに向かう途中に朱音&孝樹と合流出来、和気藹々とゴールへと向かう。

この時点で順位というものは既に私達の頭の中にはなかった。

朱音&孝樹が取った宝物も風船の中に入っているが、箱の形も違うし重さも違うから、中身は同じではないみたいだ。

すぐに開けたいと女性陣は主張したが、まだイベントが終わってないからと言う男性陣の諌めにより、風船を片手に持ちながらゴールに向かっている。

ゴールとなっているのはこのウォーターランド最大の目玉である、全長800メートルに及ぶウォータースライダーの入り口付近。

そこには既に何組かの参加者が見受けられる。

その手には皆同じように風船が握られ、終了時間が決まっていなかったこのイベントの終わりを今か今かと待っているようだ。


「皆割ってないんだねぇ〜」

「みたいね?じゃぁ割らない方がいいのかなぁ?」

「んー早く中が見たいのにぃ〜!!」


朱音がグズっていた時、即席で作られたらしいイベント会場にマイクの音が響き渡る。


『え〜お集まりの皆様に申し上げます。ただいま≪カップル対抗障害物レース≫全参加者の皆様が第五関門をクリアされました。繰り返します、全参加者が第五関門をクリアされました。よって、13時からウォータースライダー下特設会場で表彰式を開催いたします。参加のお客様は特設会場まで起こし下さい。繰り返します、13時から…』


「後30分後だな」

「微妙な時間だなぁ〜、どうする?」


花壇の前のベンチに腰掛けたまま放送を聞いた私達は、30分という時間で乗り物には乗れないし、どっかに行くにも時間が短すぎるので、どうやって過ごすかを考える。


「なんか軽く軽食でも買うか?あそこに店あるし」

「そーだね!おなか空いたし。んじゃ私ホットドックね!よろしく、孝樹♪」


そして孝樹の意見に朱音が追随し、おまけに自分が動く意志のない事を告げる。


「紗代どうする?」

「んー一緒に買いに行こうかな」


朱音みたいに頼んでもいいとは思うけど…なんだかちょっと買いに行ってもらって自分は待ってるという状況が好きじゃなかったからそういうと。


「何食べたいか言えば買ってくるぞ?」

「んーでも…悪いし…」

「ほら、聞いたか?朱音も見習…」


私の言葉を聞いてけし掛けようとした孝樹を朱音が目で黙殺している。


「孝樹達あんな感じだから女同士で待ってろよ、な?」

「んーじゃぁホットドックがいいな、ゴメンね?」

「いいって、ほら、孝樹行くぞー」


そういって孝樹の襟首を掴みながら半ば雅斗に引きずられるように2人がお店へと向かっていく。

その後ろ姿を見送りながら、ベンチに踏ん反り返る朱音を見る。

っていうか、パレオも羽織らない水着状態なんだから、踏ん反り返るのは止めて欲しい…。


「…はぁ〜、それで?」


けれどいい加減朱音の性格も分かってきたし、二人を買出しに行かせたのがただの我侭でない事ぐらいは分かる。


「あら、紗代でも分かるようになったんだ♪」

「そりゃ…長い付き合いだしね」


案の定朱音は自分の隣をポンポンと叩いて私に座るように促す。

そして真剣な顔で私を見つめ、一瞬迷うように視線を漂わせた後、私の目を真っ直ぐに見つめる。


「紗代はさ…、越高の事どう思ってるの?」

「どうって?」


朱音が何を言いたいのか分からずに首を傾げると、朱音はわずかに視線を反らす。

言いにくい時に見せる、朱音の癖。


「孝樹に聞いたよ、志貴の事話してたんだってね、さっき」

「――ぁ、…ぅん」

「紗代の中ではさ、喋らないって選択肢があるの?」


真剣な眼差しと重い言葉。

その回答に朱音が不満を持っていることはすぐに分かった。


「孝樹は…あぁいう奴だから言わなかったみたいだけどさ、『言えない』と思うのは信じられないからでしょ?それなら…別れちゃいなよ。傷付くよ、紗代も、越高も」


それは自身の心でも浮かんでいた問いかけ。

そして、意識的に考えないようにしていた問いでもある。


「…」

「紗代にとって志貴の事がどれほどのことか分からないし、越高は確かに今まで遊んでたよ。でも、紗代と出会ってから越高は変わったよ。女子の中で話題になるぐらいに。そんな越高を信じてはあげられない?」


朱音の言いたい事は分かる。

でも…。


「――まだ…怖ぃよ…」


思い出す。

数年前の事。

別に話したくて話したんじゃない。

心配してくれて、何でも聞くと言われたから――全部話したんだ。

信じられると思った友達に。

でも…、次の日から私とは口を聞かなくなった。

そして、後ろ指をさして囁く声。

人間が…怖くなった。

信じたいけど…そう思った途端に、昔の記憶がフラッシュバックする。

まるで――忘れたのか?――と問いかけるかのように。


「…今すぐとは言わない。でも、『言わない』を選ぶのは私が許さない」

「…は…ぃ」

「それだけ♪」


そこで真剣な表情を消して朱音は笑う。

同時に「お待たせー」という声がして孝樹と雅斗と合流し、手渡されたホットドックを皆で頬張る。

その間、私はひたすらホットドックを食べることに集中していた――雅斗の顔が…見れなかったから。

そしてまだ時間があるからと朱音と同時に取り出した風船の中身は、朱音はネックレスで私はブレスレットだった。

その後の結果発表では私達は上位には入らなかったが、思ったより楽しかったからという事で誰も不満はなかった。

そしてその後もプールで遊んでから家に帰宅した。

正直なところ、何をして遊んだのかも覚えていないけど…。

頭の中は朱音に言われたことがグルグルと回りながら圧し掛かっていた。


長かった夏休みも終わろうとしていた――。


ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます!

構成なんて皆無な状態から適当に書き始めたこの話ももう36話になりましたー!!こんなに続いたの久しぶりー(^_^;)


今回のお話は…こんな予定ではなかったのだけど…キャラが暴走を始めたらしいでつ。。。

ほんわかハッピーに終わるはずだったのに「なんで急にこんなシリアスな会話してんの!?」と、書いてる最中何度も叫んだのは他ならぬ作者です(あ、心でね?仕事場なんで(汗))

微妙な終わり方しましたよね…自覚しております。。(_ _;)能力の無さ…ですかね…、虚しい限りです…。

次からはまた学校を舞台に展開していく予定です。

この夏休みに名前まで出した二人はこれ以後主要人物に加えられる…予定(――た、たぶん…多分ね)です。

あとは志貴のことももうちょっと書いて見たいなぁ〜ww

最近仕事が手持ち無沙汰なんでちょくちょく更新していく予定です。

楽しみにしていただけると嬉しいです。

では、こんな展開を見てみたい、こんな小話を読みたいなどありましたら、感想にでも書いて下さいな☆

感想だけでもめっさ作者は喜びますので♪

ではまた次回に。(^▽^)ノ

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