32.第四関門…結果。
「では、出てきて頂きましょう!女性陣どうぞー」
合図に従って二人が触れた脚の持ち主の手が引っ張って欲しいとでもいいたげにカーテンから出てくる。
俺と孝樹は迷う事無くその手を引っ張り――腕の中に収める。
「……バカ…」
俺の腕の中に入ってきた紗代は、顔を真っ赤にして目も合わそうともしない。
まぁそれもそのはずで、さっき俺がしたのは、足に触れた…というよりは撫でたに近いからだろう。
「――可愛い」
耳元で囁いてやるとより一層紗代の顔の赤みが増す。
ふと孝樹の方を見てみれば、あちらも無事自分のペアを当てることが出来たらしい。
これでお互い相手の機嫌を損ねる危機は脱したようだ。
「――……んで…?」
「ん?」
「…なんで分かったの?」
まだ赤い顔のまま睨むように見上げる紗代の姿に、一瞬理性が飛びそうになる。
(これはまずいだろう…)
自分の方が頭が上になるからもちろん上目遣いになるのと、上気した顔は今までの生活上直結で違う方面へと結びついてしまう。
どうにも紗代を直視してられずに腕から解放すると、第五関門へと進む為に門へと急いでいる風を装いながら答える。
「あぁ、そりゃ、足の擦り傷だよ」
「擦り傷?」
「そ、ダミー用に用意された人達の足には擦り傷が一つも付いてなかった。で、その中で擦り傷が付いた足が2本。あとは二人の身長加味すりゃおのずとわかるって」
実際足が出た時点でどの足が紗代なのか見当は付いていたのだ。
――一番小さかったし――という一言は紗代が嫌っているみたいなので口には出さないが…。
「そっかぁ…」
若干声のトーンが下がったのがどうしてか聞こうとしたその時。
「さて、残りは第五関門一つとなりました。それでは第五関門のヒントは≪水≫です。健闘を祈ります」
そう言っただけで司会者は次の参加者の相手をする為にこちらに背を向ける。
「水がヒント…ってなんだ?」
「――水ねぇ…」
「…水…か」
「…」
雅斗、朱音、孝樹、紗代の順に四者四通りの反応を返すと、4人まとまったまま第四関門出口を抜けていく。
いや、第五関門の入口――と言い換えてもいいのかもしれない。
第五関門が行われる場所すら、はっきりとは明示されていないのだから。
後方では別のチームがさっきのイベントに挑んでいるらしく、女の派手な怒鳴り声が聞こえてくる。
『…ありゃ…ペア間違えたな…』
そんな事をチラっと考えた二人は顔を見合わせ、そして自分のペアを見、外れなかったことを今更ながら深く安堵するのであった。
特に孝樹は、もしも間違うなど起こそうものなら、問答無用で紫藤の餌食になったであろうから、その安堵は雅斗以上のものがあった。
暫く当てもなく歩いては見たものの、そう気の長いメンバーばかりではない。
「水ってなんなのよー!!!」
考えることに疲れ、当てもなく歩くことに嫌気がさしたであろう紫藤の叫びで、全員の足が止まる。
「まぁまぁ…」
まるで暴れる馬にを宥めるかのように孝樹が朱音の頭を撫でるが、効果はあまりないようだ。
「水…あ、そういえば、コレ…説明されなかったよね?」
紗代がパーカーのポケットから取り出したのは2枚の真っ白な紙。
出場受付時に渡されたものだ。
「あーそういえば…言われなかったなぁ…。…なぁ、水につけたらなんか浮かんできたりとかはしない?」
「あ〜!!!それだっ!!そうと決まったら早くプール戻ろ!」
孝樹のどう考えてもただの思い付きにしか聞こえない言葉でも、紫藤にやる気を出させるには十分だったらしい。
孝樹の手を取って今にも走り出そうとする紫藤を見、現状それ以外に何の手がかりもない事は明白。
「じゃ、行こうぜ」
こうして俺達の第五関門は幕を開いた。
お久しぶりです。
遅くなってしまい大変申し訳ありません。。。
実は風邪を引いて熱を出して、治ったと思ったら仕事が山積み…毎日11時に帰宅…なんて状況で会社内で小説書く暇なぞあるわけもなく…遅れてしまいました。。
暫くこの仕事の状況が続きそうなので、もう暫く更新は遅くなってしまいそうですが…放置はしないつもりですのでどうかお付き合いくださいませ。
ではまた、後日。
*追伸*
小説の感想…が物凄く欲しいです!
なんておねだりさせてください(//ω//)
定期的に覗いたりなんてしてくれる方がいらっしゃったらいいな☆