30.ジャングル
第三関門の出口を出てから、「ここは本当に日本か!?」と疑ってしまうぐらいの鬱蒼としたジャングルを歩く。
道らしい道もなく、木に掛けられた赤い矢印だけが唯一コースだと教えてくれている。
用意周到というかなんというか、第三関門の出口にビーチサンダルとパーカーが置いてあったことを考えると…これも試練のうちの一つなのだろう。
そう遠くない場所で日本ではまず聞くことのない鳥の声がそこ彼処から聞こえるのは、ジャングルの完成度を褒めるべきか、出来すぎな点を抗議すべきか悩む所ではある。
「これ既に順位わかんないねぇ…」
鬱蒼としたジャングルの中で他の参加者の姿など全く見えない。
「まぁ確かに…が、そんな事よりなんでこんな植物が枯れずに日本にあるのかって所の方が聞きたいぞ、俺は」
『気温も…』とか『湿度も…』とかぶつぶつと一人ごとを呟きながら、どう見ても熱帯か亜熱帯の植物であるだろう背の高い木を見上げている雅斗はなんとなく絵になってたりする。
雅斗がその木にある赤い矢印から辺りを見回すと、30メートルほど先に次の矢印が見える。
「次は向こうだな、こっからだと…ちょっと遠回りになるがあっちからの方が歩き易いな、紗代あっちー」
「あーぃ」
雅斗に指差された方に行くと矢印とは違う方向になるが、ここ数分の体験からそこに道があるのだろうと判断する。
「そういえば雅斗って山道歩きなれてるの?」
「なんで?」
「さっきからこんなジャングルなのにあんまり大変じゃないから…かな?」
確かに傾斜とか植物が邪魔だったりはするのだけど、それもちょっと身体を捻れば通れる程度。
昔家族で山登りに行った時の方が今の倍以上疲れていたと思う。
「まぁ山登りはガキの頃からしてるからな。見る人が見れば分かるよ。一見道に見えなくてもちゃんと道作ってあるみたいだから。従業員とかが通るんじゃねーの?」
確かに従業員が全く通らないということはないだろうけど…何度見ては私にはただの森に見える。
雅斗の目にはどういう道が見えるんだろう?
一緒に居る時間が増えればわかるようになるかな?
そんな事を思いながらでも労せず次の矢印に行き当たる。
そして雅斗が今まで通り辺りを見渡す。
「お、ついたみたいだな」
雅斗に顎で示された方を見ると、第三関門のように開けた場所がそこにあった。
ジャングルの薄闇に慣れてしまった為、燦々と照りつける日差しが少し眩しい。
「あとちょっとだな、行くぞ」
「ぅん」
差し出された手を取ると思っていたよりもゴツゴツして、そんなところにちょっとドキドキする自分がなんか可笑しくてついつい笑ってしまう。
そしたら、「何笑ってんだ?危ないだろ」と頭をコツンと叩かれる。
そんなやり取りが嬉しくて、『幸せ』だって思った。
もしも…朱音さえ話していない『あの事』を話しても、雅斗は隣にいるだろうか?
そんな事を、ふと思った。
な、なんと!!
気付けばもう30話じゃないですか!!
ここに載せてる小説では一番まともに更新している気がします☆
これも一重に更新するたびに伸びるアクセス数と、たまに頂ける感想とかメッセージの賜物です!
本当に感謝!!
重ね重ねどうもありがとうございます!!
取りあえずこのウォーターランド編が35話ぐらいまで続く予定です♪(予定は未定ですが。。。)
その後は学校に戻りまして、取りあえず雅斗と紗代のラブラブとか、ライバルとか過去とか書いてみようかなーっと思ってます。
どうか皆様、作者が飽きるまで(ぁ)お付き合い下さい♪
感想とか評価とか頂けると嬉しいです♪
ではまた、近いうちに。