21.約束
「へぇ…じゃぁめでたく付き合い始めたわけだ?」
「…ぅん。でね?夏休みの間に1回ぐらい4人で遊びたいなーって思って。プールでも行きたいなぁーって思ってるんだけど…どう?」
二人っきりで水着っていうのは…ちょっと恥ずかしいから…っていうのはこの際言わなくてもいいよね?
「良いよ。じゃ週末にしよっ♪孝樹にはこっちで声掛けとくから、越高は宜しくね♪」
「うん♪」
「んで場所だけど、折角だからウォーターランド行ってみない?」
「ウォーターランドって――今年オープンしたあの?」
ウォーターランドっていうのは最近千葉に出来た大型の後楽施設で、ウォータースライダーとか色々なものがあるんだって最近よくCMしてて、雅斗とも行きたいねーっと話してた場所だ。
「そ、もう行った?」
「ううん、まだだよー」
「じゃ、そこで決まり♪集合時間とかは調べてからメールするねー♪」
「ありがと♪楽しみだねー♪」
「ん、じゃ週末〜♪」
「うん♪」
電話を切ると早速雅斗にメールを作成する。
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TO:越高雅斗
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週末4人でウォーター
ランド行こうって事
になったよー♪
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「こんなんで良いよね?」
っと、文を決めると悩むこともなく送信ボタンを押す。
――メールが送信されました。――
との機械的な文章を確認すると携帯をベッドに置いたまま適当な本を取る――と、本を開く前に携帯がメールが来たことをけたたましく知らせる。
慣れた操作でメールを開くと、そこには予想していたのと同じ文章が表示されていた。
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FROM:越高雅斗
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了解。
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「相変わらず短ーぃ。。。」
電話したり話していたりするとそうでもないんだけど、基本雅斗のメールは素っ気無い。
初めのうちはなんか忙しいのかな?とも思ったりしたけれど、どうやらそれが性分らしぃ。
これだけ短い文で返って来ると話の発展は皆無――つまり…用件のみ…。
まぁいつもの事なんだけど…。
「もっと話たいだとかさ、思わないのかよぉー」
携帯に向かって文句を言う自分を終わってるなっと思わないでもないけど…そう思っちゃうんだからしょーがない。
「…私だけが好き過ぎるのかなぁ…」
最近の私が抱える一番大きな問題。
ま、答えなんて分からないのだけど…。
取りあえず気を取り直して、朱音にメールを作成する。
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TO:朱音
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雅斗OKでたよー!
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朱音の返信は早くて、すぐに返信が返って来る。
お互い暇人って事でもあるのかもしれないけど…それは考えないで置こう。
…虚しいから(泣)
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FROM:朱音
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こっちも平気ー!ん
じゃ、8時に駅前集合
でいいよね?
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TO:朱音
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ラジャーノ(・ω・´)
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まぁ朱音とのメールも用件だけって言えば用件だけなんだけど…さっきひたすら電話で話したからだし。
好きな人だから沢山話たいし、些細なことでもいいから一つでも多く色んな事が知りたい――って思う気持ちは女だけなのかなぁ…?
携帯をベッドの上に放り投げて暫くそんなことを考える。
そのうち実は雅斗は紗代の事が好きなわけではないんじゃないか説辺りまで浮かびあがって来た頃――携帯がメールの受信を告げる。
(誰?)
慣れた動作で放ってあった携帯を操作すると、メールを開く。
見るとそこには見慣れた名前がある。
「ん?雅斗から?何だろ?」
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FROM:越高雅斗
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今何してる?
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雅斗にしては珍しい内容のメール。
まぁ…短文って所は変わらないけどさ…。
何を意図しているのかが全くわからないので、聞かれた事に答えることにしてメールを作成する。
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TO:越高雅斗
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部屋で寛いでるよ〜
(@・▽・@)v
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初めての特に意味のないメールなのかな?っと思っていると、すぐさま返信が来る。
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FROM:越高雅斗
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窓
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…は?
窓????
雅斗のメールにもそろそろ慣れただろう…っと思っていたのだけど…文にすらなってないそのメールの内容に頭の至る所にクエスチョンマークが浮かびあがる。
窓――って言えば私の部屋には窓が一つあるけど…。
試しに窓の傍に行って見ても何も何もないし…。
夜の為しめていた遮光のカーテンを開けて窓を開けると、涼しい風が部屋の中に駆け込んでくる。
あまりの気持ちよさについついベランダへと足を運ぶ。
途端、手に持っていた携帯がメールの受信を告げる。
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FROM:越高雅斗
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下
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下?
取りあえずベランダから下を覗き込んでみる。
ベランダは道路側に面しているので玄関の辺りがよく見える――と。
――チカ…チカ…――
目の端で何かを捕らえてその方向を向くと、バックライトをつけた携帯を片手に手を振る人の姿。
「紗代ー」
「…え、雅斗!?」
そこにはラフな格好のまま手を振る雅斗の姿があった。
遅くなりました。なんだか気が乗らなくて(^_^;)書ける時に書こうと思います。
感想など頂くと更新頻度が多分アップします(笑)
ではまた、近いうちに。