2.始まり
あまり思い出したい出来事ではないのだが…、話は数ヶ月前に遡る。
桜が散り始め、新しいクラスにも慣れ始めた頃の事。
半ば強制的にやることになった委員会の会議で、始めてコイツと出会った。
入学した時から有名だったから私も名前は知っていたが、会うのはそれが初めてだった。
今はその時の自分を消し去ってしまいたいが――初めてコイツを見た時、私はコイツの容姿から目が離せなかった。
鳶色の髪に切れ長な茶色の目、滑らかな顎のラインから醸し出される理知的な雰囲気。
そのどれもに引き付けられて――目を反らすことが出来ない。
――しかし。
「何見つめてんの?おチビちゃん?」
と、コイツは仮にも初対面の私を蒼然とチビ呼ばわりしたんだ。
確かに人よりちょっと低いかな〜とは思ってるけど…。
よく中学生に間違えられるけど…。
いくらなんでも初対面からはないでしょ!?
まぁかくいう私もその後。
「――なっ…!馬鹿にしてんのっ!?」
――バチン――とそりゃいい音をたてて初対面の奴の頬を平手打ちした。
きっと今まで女に叩かれることなんてなかったんだろう。
そりゃもうキョトンとしちゃってた。
その顔を見てもう関わることはないだろうと背を向けた瞬間――。
「俺と付き合って!!」
――なんて有り得ないことを言い出し――。
ご丁寧に女の黄色い声があがり――、何に対してなのかわからないが男の歓声があがり――教室騒然。
嫌がらせにしても質が悪い。
そして――。
「黙れ、バカ」
と言った私にも男の歓声があがった。
――結局その日の委員会はなくなり、不本意ながら私と奴が揃って説教。
説教が終わり次第脱兎の如く帰宅したのはいうまでもないだろう。
そして翌日。
平和な日常を疑いもせずに登校した私を、校門前で迎える奴の姿があった。
その日から――私に平和な日常はなくなっていた…。
本日は初回で2話更新しています。




