5分が終わる。
あと五分。
僕の命はもう終わる
おもえば退屈な人生だったかもしれない。
生まれてすぐに、施設に送られていみんな同じものを食べさせられて、みんな同じ服
を着て、感情なんて知らないで育った。
そして、施設が決めた職場に送られ、出番がくるのをずっと待ち続ける日々。
雨の日も、雪の日も、台風が来た時もあったなぁ。
僕はずっと待ち続けた。その時を、、そして遂に来たんだ。その時が。
待ち望んだその日が。嬉しいのか、悲しいのか、僕にはわからなかった。
ただ一つ、『終わる』ということは分かった。ぼくは終わるのだ。
蓋が開いた。差し込む光が妙に清々しく思えた。そしてぼくは箸ですくわれ、僕を買
った彼をみた。僕を選んでくれた恩人。彼は箸をつかい、僕を啜った。
僕のカップ麺の人生はここで終わった。