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小田からの贈り物

僕たちのカタチ。

作者: 小田虹里

 僕たちは、いつでも一緒にいた。


 ワイルドに見えて、実は乙女ちっくなS。

 言葉遣いは悪いけど、実はどこまでも優しいJ。

 そして、偽りで固めていた……僕。


 女の子の三人組は、実に難しい。


 学校生活の中では、「ペア」行動が多かった。

 偶数人でグループをつくるもの。

 だから、三人組の女の子グループでは、ぼっちが生まれる。


 小学生のころは、ただ単に楽しかったからそこに居た。


 好きな漫画が一緒で。

 ゲームの世界に引き込まれ。

 鬼ごっこをしたり、カードダスを引きに行ったり。

 絵を描いて遊んだり。


 どこにでもいる、小学生。


 中学校へ行ってからは、少しずつ歯車が動き出す。

 それぞれの「個性」が主張するようになる。


 そして、「嫉妬」が生まれた。


 僕たちは、一度。

 大きな喧嘩をした。


 僕は、「許す」という広いこころを、直ぐには持てなかった。

 Sと僕との喧嘩。

 Jは、Sと僕との間で板挟み。


 何年も経ってからのちに、僕はJに当時のことを語った。


 大人になった僕たち。

 ふたりは、この生まれ育った世界から旅立った。

 僕ひとり、この地に未だ残っている。


 一生を、此処で過ごすつもり。


 遠く離れた親友たち。

 今になって時折、恋しく思う。


 ひとは、結婚をしたら価値観が変わってしまうものらしい。


 別の友達からの手紙を見たとき、昔と今との在り方の違いに僕は愕然とした。

 結婚……それはきっと、幸せのカタチのひとつ。


 けれども、「友達」としてのカタチは薄れていってしまうもの。

 そして、新しい「友達」の和がきっとできるもの。


 ひとの縁は、カタチを変えていく。

 そうして、生きていくもの。


 僕たちのカタチは、もともと歪だった。

 けれども。


 今まで、ずっと支えてくれていたのは変わらずにSとJなんだ。


 これからのSの未来。

 これからのJの未来。


 そこに、僕は居ないのかもしれない。


 けれども、それが歪な僕たちのカタチ。


 唐突に訪れる別れは、「成長」と同じこと。

 ちょっぴり悲しいのは、SとJがそれだけ大切だったという証。


 もう、遠くへ行ってしまって月日が経つ。

 こころの整理は、ついてきていた。


 幸せを願う。


 それは、本心。

 寂しいけれども、本音。


 「私は親に何も返せていない」と嘆いたS。

 僕は、「ただ、笑って元気に生きていれば、それが何よりの親孝行」と語った。


 それは、ママを亡くした僕の経験談。

 見つけた、答え。

 

 ねぇ、聞こえますか。

 S、そしてJ。


 僕は、この地からふたりの幸せを願っているよ。

 何かを失ったような喪失感はぬぐえないけれども……僕たちは、もう大人だ。


 親友の幸せを願えないほど、薄情でもなくなった。

 誰よりも、幸せになってほしい。


 今まで、助けてくれたふたりだから。


 ねぇ、聞こえますか。

 S、そしてJ。


 ありがとう。

 こころからの感謝を、輝ける未来へ。


 こんばんは、はじめまして。小田虹里です。

 久しぶりの短編。「詩」になるのかは分かりませんが、思いを綴ってみました。


 小田にとって、とても、とても大切な親友。幼馴染が居ます。それが、SとJです。人付き合いが苦手な小田の、数少ない親友です。リア友です。Sとは、1年に1度。会えるか会えないかという生活になってしまいました。Jとは、もう少し頻度高く会えていましたが、この度、めでたい話が。


 いつかは、このときが来るとわかっていました。


 もっと、若くて幼かった頃の小田は、なんとなく。認めることが出来ずにいました。おめでたい話の後、消えてしまった別の友達が居るからです。


 暴力を振るわれても、それは小田の為。


 そういう見解を示されてしまったことがありました。小田としては、その見解を認めたくはありませんでした。

 軽い平手打ちとか、蹴りとか。それくらいなら、もともと許容範囲でした。でも、度が過ぎた暴力、暴言……それも、親は子に与えることが許されるのでしょうか。親って、そんなにも偉い存在なのでしょうか。


 どうして、結婚してしまうと……価値観が変わってしまうのでしょう。


 いえ、たまたま……かもしれません。その子の見解だけが、そうなってしまったのかもしれません。それでも、小田の顔面にはそうとき受けた傷が残っているし。こころにも、傷は残ってしまっているんです。


 そんなこともあって、「結婚」という言葉には嫌悪感を抱いてしまうようになったのかもしれません。苦手意識があります。


 価値観は、ひとによって違う。僕たちは、本当に歪だったと思うんです。特に、僕なんて不安定要素多数で……SとJには、負担と不安と心配を、たくさん背負わせてしまったと思います。

Jはさらに特別。僕は、ひとり暮らしをしていたときのJ宅へ、何度も逃げ込みに行っていました。思えば、あのころは幸せだったかもしれません。


 今、僕が生きていられるのは、Jの存在があったからこそ。だから……Jには絶対、幸せになってもらいたいと、常々思っていました。


 あれですね。

 J離れをするときが、来たのだと思います。


 ますます、Jが遠くへ行ってしまう。

 けれども、Jが僕にくれたカタチなきものは、一生消えない。


 幸せになってほしい。


 そんな思いを、カタチに残したくて今回この文を綴らせていただきました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。どうか、みなさまにも幸せの風が吹きますように。 2018,7,28


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― 新着の感想 ―
[一言]  昨晩、とても不思議な夢をみました。たぶん本屋に入ると、スタンド・バイ・ミーがかかっていて、店員が新刊書をもってきます。それが「小田虹里の生涯と作品」というのです。この目でありありと見えたの…
[良い点]  あとがきが実質では「後半」で、詩とエッセイの複合作品として良いと思いました。  詩だけでは少しつかみ足りない部分が、あとがきを読んでいるとかみあって、詩のメッセージも染みてきました。 …
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