空からの落しモノ
エリアが去った後の俺の毎日はそりゃあ平凡なものだった。
綾人達と時に騒ぎ、それなりの成績を残すために精一杯勉強をして、ごく一般的な学生生活を送っている。
一つ、変わった事があるといえば、少し俺の運が良くなったということかもしれない。
エルアの祈りのおかげなのかどうかはしらないが、前よりは格段に良くなった気がする。(単に俺の気のせいなのかもしれないが。)
自販機で俺の飲みたいものだけがない、だなんて事はなくなったし、この前買い物に行った先での抽選会で初めて最下位以外の賞が当たった。
まあ、他人からすればどうという事はないのだろうが、今まで幸運とは無縁の生活を送ってきた俺にとっては、それだけでも奇跡というか、喜ばしい出来事だった。
今でもこうやって、なんて事はない事を考えて、この道を放課後に歩いていると、またあいつが空から落っこちてくるような気がする。
・・そんなの、俺の気のせいにすぎないんだけどな・・。
「きゃあああああああああああっ!?」
そんな夢物語をぼうっと考えているうちに、遠くから聞こえてくる女の悲鳴。
ああ、これはデジャブというやつなんだろうか・・!
期待に胸が高鳴るのを感じて、俺は自然に空を見上げる。
どんどん近づいてくる影は、やがて人の形を成し、そして見知った金髪の少々の姿をこの目で捉える事が出来た。
地面に衝突するギリギリすれすれのところで、優しい風がエリアの身体を包み込み、ふわりと地面に着地する。
初対面の時とはひどい違いだな、と俺は思わず苦笑を漏らしていた。
「真崎さん、私です。エリアです!覚えていますか?」
「当たり前だろ?多分お前の事は一生忘れないな。にしてもお前どうして戻ってきたんだよ。」
「地上での問題を解決する事が現在の私のお仕事になったんです。」
「へぇ、それはそれは。お前にそんな大層な仕事が勤まるかは謎だけどな。」
「真崎さんっ、それはひどいです・・!私だってだいぶ天使らしくなってきたんですから!」
「じゃあ、なんで天使様はその立派な翼を落ちている時に使わなかったんだ?というか落ちてきた時点でまたお前ドジやらかしたんだろ。」
「うっ・・。それはまあそうですけど・・・っ、翼の事は本当に忘れていただけなんです!今でも背中に翼がある事を忘れちゃう事が多くて・・。」
それじゃあ何の意味もないだろうと声を大にして言いたかったが、ここでそんな事を言っところで、事態は悪い方にしか進まないだろう。
今は、ただ再会の余韻に浸っている方がずっといい。
「おかえりだな、エリア。」
「ただいま、真崎さんっ!」
彼女の嬉しそうな微笑みは、俺達が過ごしてきたあの日から何一つとして変わってはいなかった。




