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少女の思い
「エリア、エリア!起きなさい。」
姉の大声にも全く反応しない妹に業を煮やしたのか、六枚の翼を持つ美しき大天使はそっと決められた術をその唇で紡ぎだす。
すると、先程までしっかりと目を閉じていたエリアの瞼が、ゆっくりと持ち上がる。
「おねえちゃん・・。」
「ずいぶんと長いお眠りだったようね。まあ、それも当然かしら。それにしても驚いたわね。いつの間にか貴女が自分自身に催眠をかけられるようになっていたなんて。わざわざその術を自分に使った理由は何かしら?」
「お姉ちゃんなら分かってるんでしょ?」
この姉はいつもなんでもお見通しなんだから、と実際にそれを経験してきた妹は少し気恥ずかしそうにそう答える。
「ええ、大体は。野元真崎と別れるのがそんなに嫌だったなんて、よっぽど彼の事が好きなのね。」
「だって・・これが最後だって思ったら、涙が止まらないし・・。真崎さんとは笑顔でお別れしたかったのに・・。」
そう言うエリアの瞳にはまたうっすらと涙が浮かんでいた。
「信じていれば、いつかきっとまた巡り会えるわ。神はいつでも我らを見守ってくれているんだから。」
「・・・うん。」




