少女と放課後
「ど、どうしよううううう!?野元くんともしかして放課後二人っきりになっちゃったとしたら・・・!?」
「落ち着いて、落ち着いて、美帆。」
こちら、野元真崎が席をたった後の三人組み。
興奮からか、軽いパニック状態に陥っている大崎美帆をその親友である秋桜美優が必死に抑え、その彼氏である若林綾人がややにやつきながらそれを見守るといった構図になっている。
「まぁ、でもよかったじゃないか。前からお前は真崎のこと好きって言ってたわけだしさぁ。」
「ででででも、野元くんななみちゃんの事に興味があるって言ってたよね!?ああぁどうしよう野元君がななみちゃんの方を好きになっちゃったとしたら・・・・!!」
真崎の二面性を知らず、更にはななみなんて子より更に強力な恋のライバルがいるなんて事を知りもしない幼なじみの姿が、何処か滑稽でもあり、何処か哀れにも若林綾人には感じられたのだった。
そして、時は大崎美帆が期待しながらも恐れていた放課後へと移ることになる。
「真崎さん!」
もうお馴染みの場所となってしまった人気のない校舎裏に、姿を現した俺に気付いたのか、俺の真後ろで、嬉しそうなエリアの声が聞こえた。
こいつに他意はないだろうが、俺の耳元で声を出すのはいろいろな問題から止めて欲しい。
「さすが真崎さんですね!一日でもうななみちゃんの情報を入手してくれるなんて・・・っ!」
感激ですとエリアは弾んだ声で一言そう付け足す。
「別に俺が何かしたってわけでもないさ。役に立ったのは綾人達だ。」
「え、そうなんですか!?いいお友達を持ってるんですね、真崎さん。」
「・・・・まぁな。」
あいつらがいい友達なのかどうかは客観的な判断は出来ないが、まぁ悪い奴らではないことは確かだろう。
現に、こうやって俺の(というかエリアの?)役に立ってくれたわけだし・・・・。
「一人、待ち合わせしてる奴がいるんだ。お前の存在がバレたら大変なことになるから、今日はおとなしく静かにしているように。」
「うう・・・それはなんだかちょっとさびしいです。」
姿は見えなくとも、普段と変わらずに俺にべらべらと話しかけてくるエリアとしては、ずっと黙って本当にいないかのように振舞うのは苦痛以外の何物でもないんだろう。
「私、小声で、ほんとうに小さな声で喋りますから、時々真崎さんに話しかけてもいいですか?」
「ちゃんと俺以外に気付かれないように、だぞ?まぁ俺も聞こえなくてお前の事無視しても怒るなって最初にちゃんと言っておくからな。」
「ええー・・・、ちゃんと反応して欲しいです・・・・っ。」
不服気な声を漏らすエリアを無視して俺は大崎美帆の待つ図書室へと足を進めようとする。
「ま、っ待ってくださいよ真崎さん!おいてかないで・・・っ!!」
そんな俺の後ろから間抜けな声だけが後を追いかけてくるのだった。




