情報収集
そして、翌日。エリアにななみちゃんの情報収集お願いします!としつこくせがまれた俺は、頼りになるかは分からない綾人、そして最近綾人と付き合い始めた秋桜、そしてその親友であり綾人の幼なじみであるという大崎と一緒に昼食を囲むこととなった。
「あのさ、僕、昨日変わった子を見かけたんだけど・・・。」
もちろん綾人以外の奴がいる手前、いつもの完璧な優等生像は崩さないように注意する。
「変わった?どんな?」
俺の話に、すかさず興味深そうに食いついてくる綾人。
こいつは何事にも好奇心旺盛な奴だから、綾人がいるとすぐ本題に進める。こういう場面ではかなり役に立つな、綾人。
「それが、話かけたら図書室に飛び込んでいってさ。図書室の扉からこっちうかがわれたものだからこっちがつい驚いちゃったよ。身長は低くて小柄な子だったんだけど・・・。」
俺がそこまで言いかけた途端、今まで黙々とお弁当を静かに食べていた大崎はバンッと大きく机を叩いて、おもむろに身を乗り出す。
「その子っ!図書室のななみちゃんよ・・・っ!!」
「ななみちゃん?美帆知ってるの?」
親友の突然の反応に俺だけじゃなく、秋桜もそれはびっくりしたようで、恐る恐る静かに大崎にそう尋ねる。
「え?みんな知らないの!?有名な学校の七不思議みたいなもんじゃない!」
「あー、俺は知ってるよ。たまに噂になるよな。ずっと図書室にこもりっぱなしの女の子がいるって。」
「そうそう、それ!やっぱりあんたはそういうのには詳しいのね、綾人。で、美優と野元くんは知らない?その噂。」
「私は・・・、そういうのはちょっと・・・。」
「僕も初耳だな・・・・。」
というか何だ。図書室のななみちゃんって。なんだか学校の怪談のような呼び名なのがどうしてもひっかかる。
俺が昨日会ったななみという少女は幽霊だった、とまた非現実的な事を語られるのだろうか?非現実なのはもう天使だけで十分に間に合ってるっての。
「じゃあ私が聞かせてあげる。ななみちゃんっていう女の子はね、友達がいなくていつも一人ぼっちなんだって。それで、休み時間はいつもぽつんとしているの。そんな毎日に耐えられなくなったななみちゃんはいつしか休み時間は図書室に入り浸るようになったんだって。ななみちゃんはとても本が好きだったの。本の中の素敵な登場人物に憧れて自分を重ねたりしていたんだろうね。ななみちゃんはいつもある本を手元に抱えているの。その本のタイトルはみんながよく知っているシンデレラ。貸し出し期限が迫っても、ななみちゃんは何度だってその期限を延長しにいくんだって。それにそんな有名なお話、わざわざ学校の図書室で借りたりしないでしょ?だから、そのシンデレラの本の貸し出しカードにはななみちゃんの名前がずらりと並んでるんだってさ。」
「へぇ・・・・・。」
「詳しいのね、美帆。」
「まぁ、私図書委員でもあるしね。」
「で?そのななみちゃんっていうのは今も生きてるんだろう?」
「あははっ!野元くんもおもしろいこと言うのね。もちろん生きてるに決まってるじゃない。普通に今も学校に来てるわよ。だって、私昨日もそのシンデレラの貸し出し期限を延長したし。」
昨日・・・・?そういえば、昨日そのななみちゃんとやらは図書室の付近を歩いてたところを目ざとくエリアが発見したんだったか。
という事は昨日はその延長をしてもらいにいった帰りだったっていうわけか・・・?
よくよく聞けば大崎は図書委員だというし、これを利用するのも手かもしれないな。
「大崎さん。僕、少しその子に興味がわいて来たみたいなんだ。良かったら今日の放課後その図書カード見せてもらってもいいかな?」
「えっ!?えと・・・いいけど・・・。」
「なら良かった。ありがとう大崎さん。」
「いいいいえ!どういたしまして!」
「ごめん、それじゃあ僕ちょっと用事思い出したからいったん抜けさしてもらうよ。それじゃあまた後で。」
「おう、またな真崎!」
今日はエリアを学校に来させるつもりはなかったから、とりあえず携帯で家に電話してエリアを放課後にいつもの場所で待たせておかないと。
あのうさんくさい天使に電話の使い方なんて分かるかどうかは怪しいが、家に母さんがいればきっとなんとかしてくれるだろう。
今回は綾人達に相談して正解だったみたいだな・・・・!




