二度目の修行
「あー、お腹いっぱいです!おはぎおいしかったなー。」
今にも舌なめずりをしそうな勢いで、先程食べてきたおはぎの味をエリアはしっかりと思い返しているようだ。
老婆とその嫁、その孫とにおはぎのお礼と別れの挨拶を述べて、俺たちはその家を後にした。
どうやらずいぶんと心が広い家族だったらしく、またいつでも遊びにきてねと優しい笑顔で送り出してくれた。
老婆を助けにいったつもりが、これじゃあある意味俺らの方が助けてもらったんじゃないか・・・?
そういう矛盾が老婆たちの家を去ってからずっと頭の中で渦めいて仕方ないのだが、当のエリアはおはぎ、おはぎ、ともうすっかり食べ物のことしか頭にないようだ。
「おい、エリア。羽はどうなんだ?あれで婆さん助けられたっていえんのかよ?」
「えっと・・・・私には、何の変化も・・・・。お婆さんは喜んでくれたとは思うんですけど・・・・。」
まだたったの二回目とはいえ、本当に先が思いやられる話だ。
だいたい、人を助けたっていうのは単なる自分の自分の自己満足に過ぎないのかもしれず、実際にその助けられた奴がどう思ってるかなんてその当人にしかわからないわけだ。
いくら俺たちが善意(まぁ、俺らは善意で動いているわけではないんだが)、で誰かを助けたと思っていたとして、その救済の対象者は単なるおせっかいや迷惑だとしか感じていない場合だってあるだろう。
翼が生えてくる原理はわからないなんてエルアはぬかしやがったが、もし、本当に。
本当に誰かを助けることで翼が生えてくるなんていうのならそれが救済であるかどうかの判断は誰が下すんだ?
その判断を下すにはどうしても中立の立場である必要があるし、物事をよく理解していなければらない。
・・・誰?いや、そもそもそんな事自体を考える方がおかしいのかもしれない。
それは人なのかもわからない、何なのかもわからない。どんな風に、どうやって、どういう原理で翼が生えてくるのかは明らかに俺よりも不思議な能力に優れていたエルアにだってわからないのだ。
それを、ただの平凡で少し頭が回るだけの俺がいくら考えたところで答えは出ない、か・・・。
「まぁ、まだ二回目だしな。三度目の正直って言葉もあるだろ。とりあえず、家に帰るぞ。」
「は、はいっ!」
辺りはもう、薄暗闇に包まれ始めていた。




