「07」神々の企み エピローグ
「全く、勝った。なんて、嘘ばかり言う。あれごときで私を倒せるんですか?ヤナギさん」
しかし。
俺が召喚、いや、生成した悪魔は、彼女のそのモヤに食らいつくされる。
(性質が変わった?!)
「本当に君は。なめてんじゃねぇよ、人間風情が!」
彼女の纏うモヤが増幅する。そして、それは巨大な蛇となり、彼女と一体化する。
「あれはまさか!?」
ケントがそれを見て、叫んだ。
「チホ!あれは古継乃大蛇だ!」
古継乃大蛇。
チャリナで生まれた神話の中に出てくる、悪神。多性能な実態を持たない表皮で包まれた、巨大な蛇。
中には、コアとなる人柱があり、それを潰さない限りは何度でも甦る。
実態を持たないゆえに、傷を付けられず、逆に、こちらだけがダメージを負うアンフェアな敵だ。
まぁ、そうとわかれば、あとは単純なのだが。
「ククルん!起動点は?!」
「常に移動しているわ!どこと言ってもわからない!」
なるほどな。
あいつの人柱としての回復力はそういう意味か。
「チホ!何とかして、中の人だけでも引きずり出せないのか?」
チゼがそう叫ぶ。しかし、俺は。
「.........」
俺は、剣を構えた。
脳裏に、何か違和感が走る。
俺は眉をひそめた。
それを見下ろす彼女。
おかしい。なぜこの姿になった?あの姿でいた方が、俺を圧倒できたはずだ。
しかし、彼女はこの姿になった。
なぜだ?
(何かを企んでいる?)
罠、と考えた方がいいだろう。
彼女をここで仕留めることで、彼らが得することは?
何かの時間稼ぎだった?
なら、この大会をそのまま続ければよかったのでは?
俺の姿勢に、動揺が滲み出た。
「ちっ、気づきおったか、この小娘が」
彼女はそう言うなり、もとの姿に戻った。
「ふん、私をここで仕留めなかったこと、せいぜい嘆くんだな!」
そうして、彼女は姿を消した。
「ヤナギ!どうして逃がしたんだ!?」
チゼが言い寄ってくる。
「あれは罠だった。あそこであれを斬っていれば、確実に相手に持っていかれていた」
「どういうこと?」
俺はふーっと息を吐き、気を落ち着かせる。
「あれは、おそらく何かを待っていたんだ」
「時間稼ぎってことか?」
「おそらく」
フレアのそれに、俺は首肯する。
すると、リレルがそういうことかと手を打った。
「あの蛇、分体だったんだね!あぁ、それで...」
どうやらリレルは理解したらしい。さすがは古代種のエルフ。だてに五百年生きてないな。
「彼女、レイリーが殺されることで実現すること。それはおそらく、異次元人の再来だ」
俺の話に、リレルが続ける。
「昔、第一次次元間戦争の勃発となる原因は、神の人柱が、何者かに殺されることだったんだ」
神の人柱はその神に対する捧げ物を意味する。
そして、それは神に捧げられたものなのだから、当然、それは神様のパペットに成るわけだ。
言ってみれば、それの一部になるのと同じ意味合いを持つ。
人だって、飯を食えばそれは体に吸収されて自分の一部になるだろ?それと同じ原理だ。
だから、人柱を殺すことは、神そのものに傷を負わせるのと同義だ。
そして、それによって、神がもつエネルギーが暴出。空間が弱くなる。次元の壁が薄くなって、異次元のものが入り込みやすくなる。
言ってみれば、三次元空間にある木から紙を作り出して、二次元空間へ影響を与えようとするのと同じだな。
「まさか、彼女を助け出すことはできないとは言わないよな?」
チゼの言葉に、俺たちは閉口する。
しかし、まぁ、助け出せないことはない。不可能ではないが、難しい。
彼女のイデアを引っ張り出せば良いだけだからな。あとはそれに肉体を与えてやれば終いなのだが、それにはかなりの対価が要求される。
「そう、なのか。なら、仕方ないよな...」
そして、俺たちは一度帰還して、これからの作戦を立てることにした。
神々の企み ━終━
次章、王姫と執事「01」
ティータニアの進化表
分身
↓
分身転移
↓
変身
↓
変型
↓
従者召喚
↓
従者間固有情報共有
↓
???
↓
悪魔召喚
↓
???
↓
???
↓
???and???
↓
???
↓
???
↓
???
↓
???final




