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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
神々の企み Die Handlung der Götter
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「06」神々の企み3

「ぶち殺す!」


 俺は、脚力を105トンまで高めて、高速で彼女の懐まで潜り込む。


「『薔薇』!」


 勢いを殺さず、腰を使った回し蹴りを使う。


 人なら、本来はその衝撃波で彼我共に飛んでいくのだが、相手はまつろわぬ神。そして、俺の体はティータニアによる強化を受けているため、俺にダメージは無い。


 そして、彼女もだ。


 彼女は余裕をもって空へと回避した。が、この体でたかが五十メートルなんて、軽く跳ねただけでも届く。


「『万葉螺まばら』!」


 空中で、左下から右上にめがけての手刀打ちを繰り出す。


 しかし、彼女はその手を掴んで、下へと投げ飛ばす。


 同時に、彼女のその手が吹き飛んだ。


 レイリーの手が、直ぐに回復していく。


(ちっ、厄介な!)


 衝撃波で相手の手を吹き飛ばしたが、やはりまつろわぬ神。神は神ってことか。


 俺は下に着地すると、後方へ肘打ちを繰り出す、陰天を発動。しかし、後ろに回り込んできていた彼女にはヒットせず、それは衝撃波の渦を作り出して空を切る。


「ヤナギさんって、意外にお強いのですね。てっきり、異能に頼りきった攻撃をしてくるものだと思ってましたよ」


 彼女はそう言って、フフッと、嘲るように、そして、意外そうに笑う。


 しかし、俺にはそれに答える義理はない。


 俺は鞄からクリーチャーからドロップした白い剣を取り出した。


「あら、それは先日私がプレゼントした剣じゃありませんか。なかなか使ってくれないので、忘れたのかと思いましたよ」


「お前がプレゼントした?まさか、あのクリーチャーは...?!」


「ご明察。それは、私がこの物語を主人の計画のために渡した、かくし球よ。それでせいぜい、おもしろくしてくれるといいわ。フフフ」


(なるほど。でもまぁ、それでもあいつを殺せるのなら、何だって利用してやろうじゃないか!)


 俺はそれを居合い腰に構えた。


「秘剣、『修羅』!」


 縮地を使って、さらに強化による筋力も上乗せされて、第三宇宙速度(約16.7km/s)で、相手に接近する。


 しかし。


 彼女が纏う黒いモヤに、それは阻まれる。


「ムダだよ。これは高密度に凝縮された呪いの壁なんだから。いくら君でも──っ?!」


 しかし、俺はそれを突き破り、彼女の腹を斬り抜けた。


「バカだな。ネタばらししてしまったら、簡単に攻略されちまうだろ」


 呪いは、精神攻撃の部類に類いする。そして、それで壁を作っているということは、おそらくは強力な暗示によるものだろう。なら、俺のティータニアの敵ではない。


 呪いは、体が纏っている魔力への共鳴で効果を発揮させる。なら、その魔力が存在しなければ、こっちの勝ちだ。


 まぁ、その分身体能力強化の魔法が解けてしまうのだが、そこはティータニアの変型で補うことで、ほぼ完全にフォローできる。


「俺の勝ちだ」


 そして、そのまま剣を貫通させて、俺は彼女を通りすぎる。


 しかし、油断はしてはいけない。


 さっきの言葉は、あくまで相手に対する駆け引きだ。


 これにのって、相手が攻撃してくるのは、既にわかっている。


 なぜなら、あいつは手を破壊してもすぐに再生した。あの程度では、致命傷にすらならないだろう。


 アイツが手を再生したのにかかった時間は、約一秒。一より小さかった。正確には、0.98かそこらだろう。


 そして、俺が負わせた傷と、その比率は、1:6。単純計算で、約6秒。


 しかし、アイツがそれを待って攻撃してこないとは限らない。


 不意に感じた気配に、俺は下へ身を屈める。すぐに頭上に風切りの音がゴウと音をたてて通りすぎる。


 俺はそのまま、ステージに背中をつけた。


 すると、俺がもといた場所に、踵落としが繰り出され、ひび割れる。


 俺はというと、場外で仰向けになっていた。


 このステージには、倒れたという判定が入ると、自動的に場外へと転移される仕掛けとなっている。


 そのため、俺があえてそこで倒れたフリをすることで、光速に近い回避をとることができるのだ。


(全く、戦闘場所がここで本当に助かった)


 俺が今居るところは、俺が崩した十字架の影だ。


 ここならば相手も見えるまい。


 しかし、奴はまつろわぬ神だ。これも何かの仕掛けだと考えておいた方が安全だろう。


 そう思った直後だ。


 頭上に巨大な剣が大量に召喚され、こちらへ向けて、雨のように降り注いできた。


(マジかよ?!)


 わかってはいたが、こんなにも待ってくれないとは容赦がないな。


 俺は縮地を使って神がかかったかのような回避を行い、策を練る。


 何か、何かないか。この状況を打破できるような、何か。


 ティータニアを進化させるか?いや、そんな時間は今はない。しまったな。あのときに全部解放していればよかった。


 後悔してももう遅い。


 どうする?


 今の俺ができること!


(......今?)


 俺が今使えるティータニアの能力は、分身、転移、変身、変型、従者召喚、パーソナルイデアの6つだ。


 変身には、自分より大きいものには成れないという制限がある。それは、従者召喚も然り。


 しかし、それは身長さえ守っていれば、横幅がどうなろうと関係はない。


 そう。それは前後も同じだ。


 なら、何か...。何かないか?ここから導き出される打開策は...!!


「どうしました?ヤナギさん。貴女、ひょっとして疲れてます?軟弱ですねぇ?」


 彼女はそう言いながら、背後のモヤを蠢かして、まるで、海綿動物のような...。


(海綿?)


 彼女の背後のモヤが、刺を形成し、その矛先を俺に向ける。


 魔力の幕を消しておける時間は、そう長くはない。良くて二秒が限界だ。


 あれを二秒間以上雨霰の様に食らい続ければ、おそらく俺は死ぬだろう。死因はショック死だな。


(海綿動物は、たしか、群体...)


 群体。


 ある個体が、分裂や出芽等によって生じた個体が、そのまま分離せずに形成する個体群。普通は、個体(個虫)間に、原形質の連絡が見られる場合をいう。植物では、ボルボックス、ケイソウなど、動物では海綿動物や腔腸動物等に見られる。


(そうか、その手があった!)


 俺はニヤリと口を引いた。


「何ですか?その顔は。不愉快ですよ?」


「...勝った」


 今度こそは、確実に、勝った。


「何ですって?よく聞こえませんでしたよ、ヤナギさん」


 俺は、彼女の台詞を無視して、大量の、巨大な細長い蛇を作り出した。


 それを一ヶ所にまとめあげ、まるでひとつの個体であるように見せかける。


「『Monster, die schwärmen』」

(    群れる魔物    )


 さぁ、狩りの時間だ。

次回「07」


ティータニアの進化表


分身

分身転移

変身

変型

従者召喚

従者間固有情報共有パーソナルイデア

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悪魔召喚new

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???

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