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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
神々の企み Die Handlung der Götter
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「05」神々の企み2

 問1。


 扉がない密室に閉じ込められました。さて、どのようにして外に出ましょうか?


 答え。


「扉がないなら、作ればいい。壁を壊して、無理やり空間の連続性を与えてやれば、問題は解決する」


 俺は、そういって、ナハトの能力を始動させる。


 漆黒魔導師ナハトの能力は、空間の補食。


 これは、空目が空間を制御するのに対し、破壊する能力である。


 ぶっちゃければ、あらゆるものの破壊がメインで、妖力の、存在を力に変えるという性質を妖力的肥大解釈したものなのだ。


 そう。


 この能力は、魔力の結合をも破壊し、妖力へと変換できるのだ。


 このナハトには、発現条件があり、過去、又は現在進行形で魔法の影響を受けた世界に封印されたことがなければいけない。


 そういう記憶的な情報が無ければ、ナハトは使えないのだ。


 一度これが使えるようになれば、いつでもこれを使える。


 まさに神だな。


 俺が本気を出せば、次元をまるごと消滅できる。


「我は夜なり」


 しかし、このナハト。


 呪文がなければ、技を発揮できないという条件がある。


 もし、使えたとしても、それを知らなければ意味がないのだが。


「其は、天涯孤独の影」


 俺は、その呪文を知っている。


「汝、我が夜に呑まれ」


 まぁ、高校の呪詛の時間に、ちょっとヒントをもらってね?


「我が身の一部になれ」


 少し、研究をしていた頃があったんだよ。


「我が身は夜。夜は月。月は影」


 本当に、この能力の出所には感謝だな。


「我が世界の道理に従い、其の鏡を呑み込まん」


 あぁ。あの頃、ティータニアを取りに浮遊城へ行って正解だったよ。


「其の物語を呑み込まん。我は天涯孤独、故に、他には誰も居ぬ」


 そろそろ集まってきたかな。


「我が道理に従い、我が鏡に従い、我が物語りに従え」


 空間に亀裂が入る。


 コォー、と、空気の対流が、魔力の対流が、目に見えるほど激しくなる。


「決壊せよ!」


 そして、この結界が壊れた。












 気がつくと、そこは控え室だった。


(そうだ、レイリーは?!)


 俺は周囲を見回す。


 誰もいない。


 そして、何の音もしない。


(外はどうなっているんだ?)


 静かだ。


 静かすぎる。


 俺は控え室を出て、ステージまで行く。


 そこは、地獄だった。


 ステージの上には、フレアたちの体が、十字架にまるで磔のように吊るされていた。


「なっ?!」


 磔、とは言うものの、目立った外傷は見られない。


 どちらかというと、何かにまきつけられているようだった。


「来るな!」


 チゼが叫んで、俺の足を止める。


「何があったんだ?!」


「司会者のレイリーって女がいただろう、あいつの仕業だ!」


 やはりそうか。


 あいつ、なにを企んでいるかわからないが。いや、企んでいるのは、アッザイランドの方か。


 俺は、待機させてあった従者を呼ぶ。


「マスター、荷物です」


 従者が鞄を俺に渡す。


 俺は、鞄の中から、避雷針を取りだし、それを十字架めがけて投げる。


 それは易々とそこに突き刺さった。


「break」

(破壊せよ)


 十字架が壊れる。


「チホ、避けろ!」


 ケントがそう言って、床に降り立った瞬間、俺は全力で前へと跳んだ。


 元居た場所が、爆発する。


 俺はその余波で、数メートル吹き飛んだ。


 受け身を取って、何とかダメージを軽減させる。


「大丈夫か?」


 フレアがそう言って、俺の心配をする。


「あぁ。なんとか」


 俺はパーソナルイデアを使い、待機させた従者の記憶情報を閲覧する。


 そこには、レイリーが、一瞬にしてフレアたちを捕まえ、観客を焼き払った映像が映し出されていた。


「なるほど、そういうことか」


 俺はそう言いながら、立ち上がる。


 彼女は、あれは、まつろわぬ神だ。


 それがリュウの使徒なら、あいつが倒してきた神が、皆あいつの使徒と化していると考えておいた方が良さそうだ。


「よくも壊してくれましたね、ヤナギさん。いやはや、私をどうこうせずに、あの結界をぶち壊してくれるとは、さすがに予想外です」


 彼女は、黒いモヤモヤとしたものを纏いながら、そう愚痴をこぼす。


「あのままあそこにいてくれれば、主人は簡単にこの世界を死に追いやれましたのに。全く、イザンやクローゼットは何をしているのか」


 やはりそうか。


 これまでのアレは、全部繋がっていたんだな。


 と、なると、元凶はリュウ・アッザイランドで決定かな。


 なら、簡単だろう。


 やることがわかったんだ。それを今実行できる。なら、殺ろう。


「我は極大なる夜なり。其は、天涯孤独の影を作り、喰らう」


「ほぉ?ナハトの詩ですか。いいでしょう。その自信、跳ね返してさしあげます」


「───影は乱舞を巻き起こし、妖霊悪鬼、此、如何な物も討ち滅ぼさん。我は汝を、此の理をもちて討ち滅ぼす者なり!」


 俺の手から放たれた、黒い砲撃が、レイリーに向かって飛んでいく。しかし、彼女は片手を前に突きだし、その黒いモヤで盾を作って吸収、こちらに跳ね返してきた。


「まずい!」


 しかし、それをリレルが受け止めた。


「マジカルハントですか。あれを防ぐとはやりますね」


 今、リレルの手には、真っ黒な玉がある。


 今の支配権は、彼女にある。


「ナハトの呪い、ねぇ。チホ。彼女のあの霧は、異能の類いだね。ククルん、起動点は見つかった?」


「ええ、さっきのでようやくわかったわ。起動点は、彼女の背中よ」


 やっぱり、俺は彼女たちには勝てないかもしれない。


 だが、それがサポートしてくれている。


 弱点はわかった。


「俺が囮になる。チゼはその隙に」


 チゼにそう言って、俺は、両足を前後に、ちょうど伸脚のような形に開き、伸ばした脚と同じ方向の手を下段に、逆の手を引いて、両手を抜き手の形にとる、第七の構え、般若を取った。


「わかった」


 そして、俺はナハトを解除して、身体能力強化とティータニアによる脚力の増強を行う。


「そろそろ作戦は立てられましたか?」


 彼女はそう言って、地上に降りる。


「ぶち殺す!」


 俺は、彼女の足が地についた瞬間を狙って、前へと飛び出した。

次回「06」


ティータニアの進化表


分身

分身転移

変身

変型

従者召喚

従者間固有情報共有(personal idea)

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