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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
神々の企み Die Handlung der Götter
84/159

「01」操り糸

絶滅種族の転生譚、第二譚第一章、開幕!

 アナイグラスは、視点をとある二人の少女に照準を合わせ、天界から観察していた。


「フフッ、リュウのやつ、まんまと罠に引っ掛かりやがった」


 隣で、ティテイファスが、彼女の腹黒い笑みに寒気を感じながら、ため息をつく。


「なんだよ?何か不満か?」


「ええ、全く。本当に、彼も先天使の一人なら、それくらい気づいてもおかしくないでしょうに。彼の脳筋っぷりには、いささか感心しますよ」


 今度は、その台詞にアナイグラスがため息をつく番だった。


「それもそうだな。こんなに簡単にかかるとは、思ってみなかったよ。やっぱり、半人半神使バルキュリアにするには早すぎたんじゃないのか?」


 彼女の作戦に、というよりかは、単なる暇潰しなのだが、こうも容易いと彼女たちにも思うところがあるのだろう。


 二人とも揃ってため息をつく始末だ。


「まあまあ、良いじゃないか。俺はそれでも、リュウの驚く様がみたいんじゃよ。カカッ」













 突如、俺たちが転移させられた場所は、真っ白な洞窟の中だ。


(いや、これは転移というより、世界そのものが再構築されたような....)


 とにかく、ここを出るしかないか。


 武道会(とは名ばかりの喧嘩祭り)の途中で、司会実況者がいないとなっては、向こうもパニックになるだろう。


 俺はふと、隣にいたレイリーに声をかけた。


「どうする?」


「そう……ですね。ヤナギさんなら、なんとかできるんじゃないですか?」


 彼女はこちらをうかがうような目で見下ろす。


(そうだよな。分身転移を試してみるか)


 俺は少し考えるそぶりを見せた後、分身を作り出した。


「分身!?」


 彼女は少し仰け反ると、目を丸くしてそう叫んだ。

 しかし、無視だ。

 今はそんなことに構っている時間も暇もない。


 俺は、外に待機させてあるはずの従者に照準を合わせた。

 しかし、反応がない。


(従者は転移の対象外なのか?)


 困ったな……。


(少し遠いが、空中庭園の分身と転移してみるか)


 そして、同じように意識をフォーカスするが、どうやら、外にいた分身とも転移することができないらしい。


(なるほど。これはおそらく、ジャミング加工の別タイプか何かだな?)


 ある区域内での魔法や異能の使用は可能だが、区域外への遠距離への使用は不可能みたいな。


 ティータニアは仙術のジャミングの対象外だったことを鑑みるに、異能と魔法は全く異なるものと考えても良いはず。


 それが通じないということは、また別の何かってことだな。


 とりあえず、出口を探すか。意味は皆無だろうけど。


「少し、向こうを探索して、地理状態を把握してきてくれ。終わったら、ここへ戻ってきてキャンプの準備をして待機」


「かしこまりました、マスター」


 分身は、そう言うと俺の背後に進む道に印を刻み、向こうへと歩いていった。


「あ、あの、ヤナギさん」


「何?」


「さっきのって、もしかして、異能……ですか?」


 知られたらちょっとめんどくさそうだし、ここはなんとか誤魔化しておくか。


「ノーコメントで」


 俺はそう言うと、マジックバッグから転移結晶を取り出そうとして、舌打ちをした。


 ちっ、しまった。鞄従者に持たせたままだ。こうなったら食料も何もねぇじゃねぇか。


 どうする?向こうは分身に探索をさせているし、俺自ら動くくらいなら、体力を温存して、分身に出口を見つけさせた方がまだ賢明か?


「ノーコメント、ですか……そうですよね、こんな一般人にそんな大それた──」


 するとレイリーは、なにやらぶつぶつと呟きながら、下をうつむいた。


(こいつ、実は陰キャラなのか……?)


 今はそれに頭を傾けている余裕はない。


「それにしても、余裕そうだな、お前は」


「そ、そんな風に見えますかね?」


 動揺した風を見せる彼女。


 俺は、口元の動きや視線、瞳孔等を観察しながら訊ねた。

 1種のプロファイリングの真似事のようなものだけどね。


「まるで、前にも何かあったみたいだ。もしかして、こういうことに馴れてたりするのか?」


 視力を二倍に強化。魔力は使わない。ティータニアの能力だけで、視力を強化する。


 彼女の瞳孔が開き、視線が逸れる。


「そんな風に見えますか?」


「見えなかったら聞かない。で、どうなんだ?」


 あえて俺は、そう高圧的に聞いた。

 彼女の頬の筋肉がひきつる。


「無いですよ。こんなことそうそうあってたまりますか!」


(……なるほど図星か。しかし、なぜ嘘をつくんだ?)


 人は、隠したいことがあるときに嘘をつく。というのは、ケントの言葉だ。

 俺がにぃの隠していたプリンをこっそり食べたときに、これで白状させられたのをよく覚えている。


(思い出したら、笑えてきたな)


 俺は、ふふっ、と笑みをこぼす。


「な、なんですか?こんなときに笑い出すなんて?」


「いや、俺がにぃに隠し事をしたときの事を思い出してな」


 俺は、ニヤリと企みの笑みを浮かべた。

※次回から、おそらく不定期的な投稿になる可能性があります。

 ご了承ください。


次回「02」


ティータニアの進化表


分身

分身転移

変身

変型

従者召喚

???

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???

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???

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???

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