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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
黄泉帰りの使徒 Apostle of the vampire
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「08」運命の誘導3

「「逃げられた!?」」


 数時間後、コナタたちがやって来た。


 そのときに、俺は彼女たちに事情を説明した。


「あぁ、見事だったよ。まさか、転移の魔具を持っていたとはな....」


「何やってんだよお前は!」


「ごめん。あ、でもほら、車は取り返せたし、それに、そんなに怒らなくても──」


「そういうことを言ってるわけじゃない!ヤナギ、お前、もしかしたら殺されていたかもしれないんだぞ?わかってるのか!?」


 チゼが怒鳴り声をあげて叱る。


 確かに、あれがただの発光するだけのライトだったら、俺は死んでたかもしれない。


 咄嗟に後ろへ跳んだものの、相手は七大罪魔法ほ使い手だ。


 俺の知らない妙技を繰り出してきてもおかしくはなかったし、それに、彼女のあの台詞からするに、追っ手を消すという選択肢も、もちろんあったはずだ。


 彼女が殺人という犯罪に手を染めたことがなかったのかどうかはわからないが、もし彼女に殺す気があれば、確かに死んでいたことは、間違いなかっただろう。


「....ごめんなさい」


 これは俺のミスだな。


 最初に一言言っておくべきだったか。


 俺は下をうつむいた。


 こんなに怒ったチゼは初めてだ。


(流石に、ちょっと怖かったな....)


 俺は、実質年下の、それも男である彼に怒られて、少し怖かったことに情けなく思った。


 少し屈辱でもあった気がするが、これは俺を思っての事だろうと肯定して、それ以上は表に出さなかった。


「あぁ....わかってくれたならいいんだ」


 チゼがぽんと、俺の頭の上に手を置いた。


 男にそれやられると、今までは悪憎気おぞけがしていたが、今は不思議とそんな感じはしない。


(体の性別が違うからだろうか?)


 俺は頭の片隅にそんな思考を置きながら、されるがままになっていた。


 少しだけ、顔をほころばせる。


 これが、意外に気持ちがいいのだ。


 すると、目の端にククルんが映った。


 彼女は、なぜかは知らないが、少し引いている様に見えた。


(うわー....)

  ↑ククルんの唇の動きを読んだ。


 俺は、そんな彼女の表情をみて、我に帰った。頭の上の手を払いのける。


「ククルん....」


 知らない間に、俺の声は震えていた。


 それは、少しだけ強めの怒気と、恥辱が混ざっていた。


「ひゃ、ひゃい!?」


 彼女の猫耳が「怖いよ....」と萎れていたが、無視した。


 反応がかわいかったけど、それも無視した。


「引くなーっ!」


 俺はそう言ってククルカンに飛びついた。














 やれやれだな。


 チゼは、そんな二人の様子を見ながら、そんなことを思っていた。


 それより、と、彼は顎に手を当てて考え始める。


 クノウとアマイは、なぜ一緒にいたんだろうか。


 ヤナギの話によれば、アマイという少女は、幼くして七大罪魔法の原理を解明した天才だとされていたが、実はそれはクノウの事だった。


 アマイがクノウと居たのは、何かのカモフラージュ的なことだろうか。


 いや。


 そんなことは鑑定屋のあの人に聞けばわかるだろうし、今は彼女たちを探すことが先だな。


 チゼはそう結論をつけて、チホの方を向いた。













 帰り。


 俺はその話をチホに話した。


「その必要はない」


「え、どうしてだよ?」


 俺は少し驚いたように聞き返すと、彼女の口から、俺の予想外の回答が出てきた。


「リーシャの転移鏡を使う」


 次回「09」

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