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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
黄泉帰りの使徒 Apostle of the vampire
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「04」依頼2

 その日の夜。


 今夜は、皆で体育館で布団を敷いて寝ることになった。


 客間?


 それが、今はヤチカのお客で埋まってるんだよ。


 ヤチカの仕事の関係上、ほとんどの場合客間が全部埋まっているのだ。


 ちなみにヤチカは宿の女将と薬剤師をやっている。


 宿屋の中に薬局があるようなものと考えてくれればいいだろう。


 中学生の頃は、たまに薬品の調合とか手伝ってたっけな。


 門下生には、コナタからメールで長期休暇の連絡を出すことにして、コナタの事情をクリアした。


「──ということだから、みんな仲良くするように」


 一通り全員の自己紹介を終えると、それでは、と本題に切り替えた。


「まず、誰から当たるかってところなんだけど」


 俺は鑑定屋からもらったチップをパソコンに繋げて、ファイルを開いた。


 因みにこれはケントの持ち物から拝借した。


 光歪曲魔法によって、画面を宙に拡大、立体投影する。


 鑑定屋と共同で研究を行っていた研究員は、全部で十名だ。


 以下そのデータを挙げるとしよう。


 アルル・テペス。


 48歳男性。


 イガラシ国出身。


 短髪で眼鏡をかけた白衣の中年。


 イラン・オルロス。


 38歳男性。


 トマヤ国出身。


 短髪でチビの白衣のおっさん。


 ムーア・ツェペル。


 90歳男性。


 メリゴ国出身。


 ハゲでデブでメガネのおっさん。


 90の割にはかなり若く見える。


 ニーナ・アゼッド。


 21歳男性。


 メリゴ国出身。


 短い金髪の褐色肌で白衣のお兄さん。


 チェン・ウェン。


 40歳男性。


 チャリナ国出身。


 マッドなイメージの長髪メガネの白衣。


 アニナス・シェド。


 65歳男性。


 イルス国出身。


 短い金髪で碧眼。


 メガネと白衣を着用したジジィ。


 チェリー・マクス。


 20歳男性。


 南ノルス国出身。


 短い白髪に赤い目、白い肌の白衣を着たお兄さん。


 高校時代のアダ名は、さくらんぼのマクス。


(なんか、いらない情報混ざってるな....)


 閑話休題。


 オッド・パンプス。


 38歳男性。


 アギト国出身。


 短髪白衣のメガネ。


 それ以外に特に目だった要素なし。


 クノウ・アキナ。


 28歳女性。


 トマヤ国出身。


 黒い長髪で、胸に二つの巨大な脂肪の塊をつけたお姉さん。


 白衣着用。


(....なんか、無性にイラッと来るな....)


 俺はキーボードを操作して、ウィンドウを切り替えた。


 すると、思いの外力を出しすぎたのか、キーを打つ音が一際強く体育館に鳴り響いた。


「....その、なんだ。気にすんな」


 何を勘違いしたのか、チゼが俺の肩をポンポンと叩いて、そう言った。


「は?」


 その言葉にはっとしたかのように、コナタが近寄ってきた。


「師匠はまだ若いんですし、き、気にすることないですよ!」


「はい?」


 俺は助けを求めるように、フレアとククルカンの方を向いた。


「チホ、もう手遅れよ。諦めなさい」


「だな」


 二人ともそう答えた。


(なんだろう、少し悲しくなってきた....)


 人類は、類人猿の頃は繁殖期になるとケツの赤さでオスを誘惑する。


 しかし、繁殖期のない現代人は今ではお尻の赤さの代わりに、胸を発達させることによって、オスを誘惑するシステムが出来上がっている。


(せめて、前世から心は男のままで居たかったが、体は確かに女性だったということか....)


 なんか、複雑な心情で、俺は光歪曲魔法で、投影されたクノウの胸部を削除した。


 すると、突然心に落ち着きが戻った。


(なんか、複雑だな、これ)


 さて、最後のファイルを開くとしようか。


 俺はマウスを操作して、次のファイルをクリックした。


 アマイ・サク。


 10歳ロリ。


 長い黒髪に白衣、メガネをかけたロリ、所謂メガネロリ。


 着ている白衣は丈があっていないためか、裾が擦れていて、もはや白衣として機能していない。


(ヤバい、超かわいい....)


 危うく鼻血が出そうになるが、こっそりと回復の魔法で無くす。


 ロリ、超カワユス....。


 やっぱりロリはいい。


 癒される気がする。


「....どこから調べるのが適当だと思う?」


「....チホ、今もしかして....まずは近場から探すといいと思うわ」


 ククルんは頭を振ると、パソコンのマウスを操作して、クノウ・アキナとアマイ・サクのページを開いた。


 妥当な判断だろうが....逃げたのがいつかは、さっぱりわからんのだしな....。


「そうですね、エンテナートさんの意見に私も賛成です」


 コナタは、師匠はどう思いますか?と俺に意見を聞く。


 でも、探すなら近いところから探した方がまだマシそうだな。


「そうだな。俺もククルんの意見には賛成だ。下手に動くより、近場から調べていった方が良いかもしれない」


「でも、一つ一つ調べるのは疲れそうだな」


 チゼはそう言いながら床に寝転んだ。


「それは俺の分身を使えばなんとでもなるだろ」


 そうだ。


 俺には、分身という能力がある。


 正確には、浮遊城の魔具、ティータニアの能力だが。


(俺のこの力も、あまり使い時がなかったからな)


 俺はそう思いながらチゼに答えた。


 ま、便利なのは間違いないし、活用しない手はないだろう。


「あ、そっか。そういえば、そんなこともあったな。今の今まで忘れてたけど」


「え!?師匠、いつの間にそんなことができたのですか!?」


「あ、そういえば、言ってなかったな。中学一年の時に、俺が丸二日帰ってこなかった時があったろ?そのときに浮遊城に行ったことは、前に話したよな?」


 そう言うと、彼女は確かに....と言って、はっとしたように顔をあげた。


「もしかして、そのときにおっしゃっていた魔具というのは、そう言うことでしたか」


 彼女は納得したようにそう言った。


 理解が早いな。


 普通は、答えを出すのにもっと時間を要すると思っていたが、杞憂だったな。


 因みに、分身は普通に魔法で使おうとすると、一人つくって制御する事自体、とてつもない量の魔力を要求される。


 並みの魔法使いなら、分身一体を半径20メートル空間で一分持たせることも至難の技だろう。


 だが、そこは魔具のチート能力でなんとかなる。


「それで、師匠はそれを使えばなんとかなる、とおっしゃった訳ですが....」


 コナタは頭を捻った。


「チホ、それだと、俺たちが動く必要が無いじゃねぇか?」


 フレアがそう言って近づいてくる。


 確かに、そこまで言えばあとは全部それに任せてしまえばいいとは思うだろうが....。


 実は、それにはちょっとしたリスクと問題がある。


「いや、このアマイ・サクって子は、俺たちが探す」


 アマイ・サク。


 彼女のことは、よく知っている。


 俺たちがイルスにいた頃も、その話は聞いていた。


 何でも、彼女はこれまでいろんな魔学者がとけずにいた、七大罪魔法の原理をわずか7歳で解いた天才らしい。


 そんな彼女のことだ。


 誰かが彼女の力を恐れて、場合によっては殺してしまう可能性だってある。


「──だから、俺たちでやる」


 レンビの眷霊との戦闘でわかったことだが、分身はオリジナルより性能が劣ってしまう。


 そうすると、失敗して、貴重な知的財産を失うことになる。


 これは、俺にとっても良くないことだ。


 なぜって、そりゃ、いなくなってしまったら、七大罪魔法を教えてもらえないからな。


 本気を出さずにレンビに勝てる要素が無くなってしまう。


「わかりました。そういうことなら、明日、彼女の家に向かいましょう」


 コナタがそう締めくくって、今夜の会議は終了した。

 次回「05」

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