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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
復讐と山羊 Revenge and goat
25/159

「25」鍵の揃い目 4

 イルス殺人鬼討伐隊は、チャリナ国とイルス国との国境で行われていた。


 そこには、臨時でギルドの依頼版が設営されており、そこには「イルス殺人鬼討伐隊への加入依頼」の文字が書かれていた。


 通常、依頼を受ける際には、その依頼の番号、依頼番号を係員に告げることで、手続きを進めていく。


 今回もそれと同じようだった。


「33987、か。依頼報酬はどうでもいいとして、達成条件は加入だけ、か」


 俺は、依頼書を一通り見ると、依頼番号を覚えて受付へ行く。


「──受付が完了しました。それでは、これを持って国境警備隊の隊長、リレル・トニーのところへ行って、それを見せてきてください。そのあとはトニーさんが全部説明してくれるはずです」


 受付の人から、33987と彫られた水色の鉄板を5枚受けとる。


 俺はその場を後にして、国境警備隊のリレル・トニーなる人物のところへと向かった。


 彼の容姿は、見ればわかると言っていた。


 この辺りでは珍しい水色のロングストレートの、身長140cm位の少女だそうだ。


 彼女は、見た目こそ若々しいが、年齢は200歳で、剣の腕や魔法の腕は、イルスで横に並ぶ人間が4人しかいないらしい。


 あくまで、人間はの話だが。


 彼女は軍の元幹部で、五仙ごせんと呼ばれていたらしい。


 彼女は白い軍服を着て、椅子に座っていた。


「失礼します、リレル・トニーさん。討伐隊加入の件で来ました。ヤナギ・チホです」


 そう言うと、彼女は無言でこちらへ近づいてきた。


(長い耳....エルフ族か?水色の髪のエルフってことは、もしかして古代種!?)


 彼女の髪の隙間からチラチラと見える、華奢できれいな長い耳を見ていると、彼女はその耳を赤く染めた。


「は、はじめまして!」


 その口から聞こえてきた声は、幼女特有の、甘い声だった。


 たしか、エルフの古代種は、精神年齢が10才までしか上らないんだっけか?


 エルフ族は精神年齢に比例してからだが成長するって、どこかで聞いたことがあるな。


 エルフに寿命は存在しない。


 いや、正確には、億や兆単位の長い寿命が存在する。


 魔力濃度の高い地域で産まれたエルフは、それが顕著になりやすい。


 それでも200歳というのだから、彼女はエルフの中でもかなり若い方なのだろう。


 何億何兆の寿命を生きるエルフの200歳は赤子同然だ。


 しかし、この見た目から推測するに、彼女はエルフの中でも成長の早い方なのだろう。


「はじめまして、トニーさん。これを見てもらえますか?」


 しかし、人を見た目で判断するのはよくない。


 経験上、俺もそれをよく知っている。


 俺は鞄の中から、水色の鉄板を5つ取り出した。


「ここにいる五人を討伐隊へ加入させてくれ」


「うん、いいよ!」


 即答だった。


 まぁ、依頼したのはそっちだしな。


 拒否する方がおかしい。


「では、これよりあなたたちを斥候隊に任命します!午後1時になったら、ここより出立、殺人鬼を発見したら、上空へ赤色の光を上げてください。その後、あなたたちは戦闘を開始、できれば倒してください。無理なら無理で──」


「問題ない。では、その通りに」


 俺は彼女の言葉を遮って、そう答えた。


「質問いいか?」


 手を挙げたのはフレアだった。


「何?」


「私たちを斥候に選んだ理由を教えてほしい」


 すると、リレルは不機嫌そうに眉を潜め、目を細めた。


「嫌なの?」


「嫌じゃない。むしろありがたい。しかし、そこまで順調だと、裏があると勘ぐってしまうのは、元五仙のトニーさんならわかるだろ?」


 彼女は、長い水色の髪を指でくるくると巻きながら、つまんなさそうに、一言こたえた。


「ボクにも見る目はあるってことさ」


 彼女はそう言って椅子に座りに行った。


「あと30分だよ?準備しなくていいの?」


「....わかった。失礼しました」


 俺たちはリレルの前を後にした。













 午前一時になった。


 俺たちは、イルス国を出発した。

 次回「26」

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