表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
復讐と山羊 Revenge and goat
16/159

「16」はぐれて飛ばされて

 フレアが手に持った剣を中段に構える。


 オルメスが魔法の詠唱を準備する。


 オリガヤは背中に背負った二対の戦斧を抜いて構えた。


 俺は右手を前に突きだし、衝撃波系の魔法の準備をする。


「ドラゴンにはその魔眼に応じた特殊能力を持つ。いろんな可能性を考慮し、それに備えて戦え!」


「「「了解!」」」


 作戦を伝え、俺は目の前の金色のドラゴンに、最大出力の衝撃波を放った。


 しかし、それは鱗に触れるか触れないか辺りのところで霧散した。


「──!」


 ドラゴンが吠え、こちらに頭を向ける。


「魔法が効かない!?」


「そっちの黒い方はどうだ?」


「だめです!魔法を放とうとしても、金色の方が尻尾で弾いてきます!」


「こっちはそのときに金色に攻撃を試みてるんだが....あいつら、あんな大きな体の癖に、避けるのが上手すぎる!」


「こっちもダメだ!黒いの、全く刃が通らねー!」


 これは俺の予測だが、もしかすると金色は魔法が効かなくて、黒色は物理が効かないのかもしれない。おまけに小回りが効いて連携もとれている。


「厄介だな....オルメス!最大火力でドラゴンのみにテンペストだ!」


「わかりました!」


 オルメスが詠唱を開始する。


「テンペスト!」


 耳をつんざくような轟音と共に、巨大な雷が落ちる。


「──!」


 金色が素早く動き、黒色を護ろうとするが、しかし間に合わず、黒い奴の横腹に雷がヒットする。


 しかし、それは奴を仕留めるには火力が足りなかった。


 しかし、護りにいったのが悪かったのか。その隙をフレアは見逃さなかった。


「ぜやぁぁぁッ!」


 気合いと共に、フレアが金色の鱗に斬りかかる。


「!?」


 その刃は驚くほどの手応えのなさで吸い込まれていき、その鱗が両断され、肉に斬り込まれる。


 だが、浅い。


「オリガヤ!」


 フレアの呼び声に、オリガヤが反応、高速で接近し、その二本の戦斧でばつ印のように斬り込んだ。


 その後は二人の斬撃の応酬が続き、それを守ろうにも、上に乗っかった黒色の体重で身動きがとれず、金色の方はなすすべもなかった。


「──!」


 中まで切り開かれ、内蔵までその刃が通ったときだった。


 苦し紛れに金色がその翼をはためかせた。


 突如周りに起こる旋風。


 それに耐えきれず、俺たちは吹き飛ばされた。


 かなり長い間、俺は宙を舞っていた。


 あまりの衝撃と高さに、意識を失っていたらしく、気がついた頃にはかなり高いところから落下を始めていた。


 視界一面に見える緑。


 そして、頭の中を駆け巡る恐怖。


 落下死するかもしれない。


 そう思ったとき、俺の落下は止まった。


 代わりに、俺は物凄い衝撃を背中に感じた。


「うはっ!?」


 いつぶりだろうか、こんなにダメージを負ったのは。


 もしかしたら、初めてかもしれない。


 受け身をとったとはいえは、背中がヒリヒリと痛む。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ....みんな、無事か?」


 俺はよろめきながら立ち上がり、全員の無事を確認しようも、辺りを見回した。


 バルスではたまにある話のひとつだ。ドラゴンのはばたきで起こった旋風に巻き込まれ、仲間が散り散りになる。


 これも、ひとつの龍災だな。


 こんなことを考えられるくらいには、俺も頭にはダメージを追っていなかったらしい。


 しかし、動揺は自分の状態から見受けられる。


 冷静になれ。


 慌ててしまったら、判断が狂う。


 そうやって自分に言い聞かせていると、かなり遠くの方に、オリガヤが見えた。


 彼は橋の上に伏せるように倒れていた。


 瞬間、奇妙な違和感とデジャヴを覚えた。

 

 橋の上、というのは、本当に奇妙な単語である。


 変に思った俺は、その橋の続く方へと恐る恐る振り返った。


 するとそこには、案の定といえば案の定と言える景色が広がっていた。


「うそ....だろ?」


 まさか、そんな台詞を吐く日が来るとは、夢にも思わなかった。


「浮遊城....だと?」


 巨大な直立した柱の上に建つ、古代の遺跡。第二浮遊城が、そこにあったのだった。


 俺かそれを見てはじめて思った感想といえば、強風で倒れるんじゃないかな?という心配であったことは、また別の話。


 次回「17」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ