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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
人形劇 にんぎょうげき
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「18」大穴

お待たせしました。最近、グダっとなってきている節が見られるので、なんとかします。←そのなんとかってなんだよ?←それ言っちゃネタバレっすよ!

 この世界はひどく曖昧で、理不尽だ。


 そして、その理不尽を無視するかのように、俺は主我的にある。


 しかし、それは果たして理不尽だからであろうか。


 俺は、元々何がしたかったのか。


 理由はわからない。


 ただひとつ言えることは、俺には感情が理解できないということだ。


 奇妙な話である。


 恐怖や感嘆、畏怖、悲しみ、哀れみなどの端的な感情は持っているのだが、それが持続することがない。


 そんな俺が、どうして復讐なんてしようと思ったのかさっぱり不明だ。


 その瞬間的な感情に振り動かされて、俺は悲しい奴だよ。


 結局のところ、俺は今現在、本当に復讐なんて幼稚なことは考えてはいなかった。


 ただ、それがあるから、それをしようと思った。


 全部、奴の掌の上で転がされているだけにすぎない。


 確率なんてない。


 すべては絶対だ。


 絶対の上にすべてが成り立っている。


 結果的に運命と呼べる道筋はひとつしかない。


 人は、皆外的要因にのみよって突き動かされ、行動する。


 結果的に、人類の行動はすべて計算で表すことが可能である。


 見えない変数が重なりあって、奇妙な計算式を組み上げて、それにしたがって動く機械。


 そうだ。


 人間は機械なんだ。


 だから、未来予知だって可能なのだ。


 ただ、それに必要な演算能力が有るか無いか。それが、可能か否かを分け隔てている。


 俺はそう考える。


 人は、何に於ても自由ではなく、束縛されることに悦に感じ、不幸とは思わないし、気がつかない。


 彼らはそれを認識できないし、できたところで、それが当たり前だと言うかのように動くだろう。


 俺は──いや、俺たちはそうやって生きてきた。


 だから、奴の考えは、わかるはずだ。


 心のフィルターを取り除いて考えれば、理解できるはず。


 全ては決まっていること。


 理解できた上で、それをどうにかすることは、今の俺では難しいだろう。


 だがしかし、難しいのであってできないわけではない。


 俺は、その暗い洞窟をひた歩き、最深部を目指す。


 奴等が心臓を隠すとするならば、外敵から最も遠い最深部に隠すと考えたからだ。


 もう何メートル潜っただろうか。


 中は整備された道と、そうでないものの二種類に大別される。


 そしてさらに、整備された道も、二種類に分けられる。


 コウモリが使うために自然と通りやすくなった道と、人類が作り上げた道だ。


 区別の仕方は簡単だ。


 床と壁を見ればわかる。


 人間はここを炭鉱として利用していたらしく、また、彼らもそれを利用するだろう。


 よって、両者が共用するのは、トロッコが通っている線路道。


 次に、人間は長時間光を見なければ死んでしまう。この事から、人が使う道にはライトがついているのに対して、コウモリの道にはそれがない。


 コウモリにはそもそも、ライトは不要だからだ。


 彼らの暗視能力は、最新鋭の暗視ゴーグルを上回り、通常の昼のように見えるとヒエロから教えてもらった。


 故に、彼らは夜に強い。


 いや、実際は逆だ。


 この暗視を得たのは、彼らが夜行性として発生し、それに適応するために得た副産物といったイメージの方が強いだろう。


 よるに活動するものに暗視能力を与えたから、さらに強くなった。


 だから、彼らのとおる道はすぐに判別できる。


 俺は、魔力の膜で自身を守りながら、また、光で照らしながら、コウモリの道を進んだ。


 ひたすらに、地下へ地下へと。


 しばらくすると、足音が聞こえた。


 奴らだ。


 俺は、光をフロア全体に撒いた。


 目眩ましだ。


 彼らにはほとんど通じない手だが、怯ませるには十分な時間を得ることができる。


 そして、その一瞬の硬直は致命的だ。


(前方視認三つ)


 三体のコウモリは、ゲームで言えば将軍クラスのキャラが束になっても勝てない数だ。


 一体だけでも、戦術クラスが二人は必要と考えられる。しかし。


 俺は、それらが怯んでいる間に、分身を利用してすべて一撃で仕留めた。


 彼らの肉体は、戦車の装甲並みの硬さを誇るが、無敵化によって打ち出された斬撃の元には、それは無意味だった。


 できるだけ魔力の消費を押さえる。


 この灯りだって、最適化法によってかなり省略化された術式を使用しているのだから。


 たどり着いた長方形の大部屋からは、四つの分かれ道があった。


 一つは俺が通ってきた道。残り三つは、左右にひとつと、目の前にひとつ。


 俺は、分身を二倍の数に増やして、俺が通ってきた所に2体設置し、左右に2体探索に向かわせた。


 俺は目の前の道を行く。


 コウモリの死体には、銀蝋ぎんろうと呼ばれる液体の蝋燭を振りかけて燃やした。


 通常の火では燃えないからな、この死体は。


 俺は念入りに入り口を調べて、先へと進む。


 しばらくすると、天井の高い部屋に着いた。


 下にも深い。


 魔法で暗視を付与して、周囲を確認する。


 大量のコウモリがいた。


 おそらく平民層だろう。


 衣装の装飾度合いが雑で、とても貴族とは見えない。


 となると、先程の三体は平民層の兵士か何かか。


 俺は、郡体で形成されたドラゴンを召喚した。


 郡体にすることで、能力の限界を突破したサイズを造り出す。


 そして、郡体だから、一部が壊れても即に再生される。


 俺はドラゴンを三体ほど暴れさせる。


 視覚をリンクさせて、同時に血の石も探すが、どうやらここにはないらしい。


 俺はドラゴンを小分けにして、更に地下へと送った。


 しばらくすると、俺が入ってきた所から、数体のコウモリがやって来た。


 服装を見るに、見回りをしていた一般兵士だろう。


 俺は分身を使って始末すると、来た道を戻った。

次回「19」


ここで言っておかないとおそらく知らないで通されるか、はたまた誰か来てくれるかはわかりませんが、こういうの一回やってみたかったのでやります。


絶滅種族の転成譚《Reincarnation tale》の主要キャラの一人で、この作品の作者名としても登場している記角麒麟視点での物語、絶滅種族の転生譚《Alice game of Astaroth》が、不定期的に更新中....つっても、現在は一話プロローグしか完成してないけど──です。


気になる方は、ネタバレ覚悟でお楽しみください。


いや、これははたしてネタバレの範疇になるのだろうか。用語とかその辺の意味とか、記角麒麟がこうなった経緯いきさつとかが出てくるわけだし....。


それでも気になるという方は、どうぞ、ご覧ください。


そして、ご意見ご感想を頂けると幸い、さらに欲を言ってブクマしてくれればもっと嬉しいな....と思ってます。はい。


これからも初心者なりに頑張って書こうと思いますので、これからもどうぞ、よろしくお願いします。


記角麒麟

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