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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
復讐と山羊 Revenge and goat
15/159

「15」焦り

 俺たちは各々戦闘態勢になって、フォーメーションを組んだ。


 ドラゴンには魔眼というドラゴン特有の特殊能力が備わっている。


 この能力は個体により様々な効果を発揮するが、群れをなしている彼らは、それぞれの弱点を補う形で群れを組んでいることが多い。


 そのため、討伐するのは愚か、龍災に巻き込まれないようにすることすら困難だ。


 本当に面倒な話だ。


 いずれ人類絶滅するんじゃないか?


 俺たちは隊列を崩さず、できるだけ早くドラゴンへと近づいていく。


 ドラゴンは視覚、聴覚、嗅覚が共に鋭く、100m圏内なら余裕で感知されてしまう。


 そのため、逃げることすら難しい。


(こっちには調教用のハイグラビティがあるけど、重力無視とかの能力だったら、ほぼ確定的に全滅コースだな)


 そんな不穏なことを、俺は心の中で呟いた。


 少し進むと、森の茂みの奥に、鼓動のように脈打つ壁が見えた。


 いや、これはドラゴンの鱗だ。


 それは、闇を思わせる漆黒の色をしており、その黒い鱗の一枚一枚が、まるで巨大な盾の様に見えた。


(バルスにいたドラゴンはこんな大きくなかったぞ!?せいぜい2、3メートル程度だったはずなんだが....)


 思ったより大きい。これが魔力濃度の差ってやつか。


「────!!」


 俺はそれを見るなり、大きく息を吸って、出せる限りの音を口から放った。


 同時に、魔法を使って音の波を増幅させ、人間に聞こえない位の高音へと変化させる。


 所謂高周波って奴だ。


 ドラゴンはその高すぎる聴力のせいか、大きな音に弱い。だが、耳の硬化というドラゴン独自のアクションのせいか、その弱点を克服してしまっている個体もいる。


「──!」


 どうやら逆効果だったみたいだな。


「何すんだよヤナギ!?」


 オリガヤが叫びながら逃げる。


「だってしょうがないじゃないか!ドラゴンは耳がいいから、そこをつこうと思ったんだよ!」


「二人とも喧嘩はやめてください!」


 オルメスが顔を真っ青にしながら全力疾走する。


 すると、目の前に金色の壁....いや、ドラゴンの鱗が見えた。


 その光景に、そこにいた誰もが絶望を覚えた。


 逃げることは許されないと、絶対命令を食らった気分だ。


 絶体絶命だ。


 ドラゴンに挟み撃ちをされる。


 相手の土俵たる空へ逃げるのは逆効果だろう。


 となれば、残る選択肢はあとひとつだ。


「全員、戦闘態勢!」


 あのドラゴンを倒す。


 それしか道が残っていなかった。

 次回「16」

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