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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
因幡の白兎 いなばのしろうさぎ
132/159

「13」ゲーム2

 しばらくの間、手持ち無沙汰だなと思いつつ、俺は自室に戻った。


 さて、何をするか。存外暇なものだな。


 ふと、俺は机のひきだしを開けた。


(写真?)


 引き出しの中に入っていたのは、一枚の写真だった。


 写っていたのは、一人の男と、小さい頃と思われる因幡六花、つまり俺の二人が写っていた。男性の方は見覚えがある。病室で、例のゲーム機について調べていた頃に見た。


(記角麒麟....なんでこんなところに写ってるんだ?)


 写真を裏に返してみると、そこには


『The game of Arice No.006//2039/12/02//try』


と、筆のようなもので書かれていた。


「アリスのゲーム、ナンバー006。2039年12月2日実行?」


 どういう意味だ?


 俺は、次にその写真の背景に注目した。


(どこかの研究施設か?いや、見覚えがあるな。これは、もしかして、俺が入院していた病院か?それと、この男....。連想できるのは、おそらく、あの『眠り』か?とすれば、このアリスのゲームってのは、もしかして──)


 もしかして、『最初の犠牲者』は、犠牲者じゃなくて、アリスゲームの最初の被験者?なら、俺は、文から察するに6番目の被験者ってことか?


 ふと、界災という単語が、脳裏に開いた。


(もしかして界災は、自然災害ではなく、人工的に起きたモノ──つまり、人為的な結果?)


 この二つが関係していることは確かだ。


 そして、その二つを操っているのが、記角麒麟であることも間違いない。


(しかし、界災ってどんなものなんだ?)


 何らかの災害であることは間違いなさそうだが....。


 これ以上ヒントは見つからないか。


 俺はため息をついて、ベッドの上に寝転んだ。


 界災についての情報を俺から避けるということは、あの世界と何か関係があるんだろうな。なら、界災を調べれば、答えにたどり着ける気がする。


 しかし、このままでは、何もならないだろう。何か分かれば....。


 そう思っていると、部屋の扉がノックされた。


 俺はベッドから起き上がって、入室を許可した。


「なっ?!」


 入ってきたのは、先日の黒いフードを被った人だった。


 俺はとっさに跳び上がって、ペン立ての中からハサミを抜き取った。


 今のか弱いこの体には、武器となりうるものが、とても頼もしく思えた。


 フードの人は、そのまま俺に突進してくる。それを俺は軽くステップを使って回避する。


 奴の袖に、よく研がれた刃物の鋭利な切っ先が垣間見えた。


(反撃、してもいいよな?)


 俺は、敵の右フックの死角に入り込んで、二の腕に肘打ちを放つ。そのまま肘を伸ばして、手に持っていたハサミを、相手の脇腹にぐさりと突き刺して、引き抜き、バックステップで後ろに跳ぶ。


 相手は反動でよろめくが、なおも俺を捕まえようとして、大振りの攻撃を仕掛ける。


 大振りは攻撃がよく見える。がしかし。


 当然ながら、俺の体力の消耗は早い。技術力に満たない体力ってのは、案外厄介なものだ。


 だからなのだろう。必然的というか。不意を突かれたという場の悪さもあるだろうが、俺は、奴に気絶させられた。

次回「14」

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