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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
王姫と執事 Und der Butler
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「26」ラ・ピュセル

 ウェイデンバーム暦二月十二日。午後五時二十二分。現在位置、ネロ王国アシロ地方テイラー領南西区南部、禁地と北方大森林とテイラー領の境に位置する、エルフ領への入り口。そこから約五百メートルほど西に進んだ所にある渓谷。


そこに、オラシオン部隊シガン分隊の支部があった。


 タケルは、周囲を確認しながらそこのとある小屋に入り込む。


 小屋に入ると、奥の大きな等身大の鏡の裏に設置された扉をくぐり、俺は支部へと足を踏み入れた。


「待ってたぜ、タケル」


 中に入ると、そこは少し広めのバーが存在していた。


「あぁ。久しぶり、スターリン」


 俺はカウンター席に腰かけるシガン分隊員に挨拶を返し、個室へと直行した。


「あ、ちょっと待てよタケル。ニーフから預かり物が届いてるぜ」


 スターリンはステータスカードを弄ると、あるものを具現化した。


「人?いや、これはオートマタか?」


 現れたのは、長い藍色の髪を腰辺りでくくっている、十四、五歳くらいの少女だった。


「ヤー。魔導兵器ラ・ピュセル。個体名、ゼレフ・アレスティナと申します」


 ラ・ピュセル。オラシオン部隊シガン分隊工作員が秘密裏に作り上げた、オートマタの魔導兵器。詳しい製造過程は、製造者以外は知らない。噂では、なんでもデザインドチャイルドを素体としていると言われている。


「これが、預かり物?」


「だそうだ。何でも、メアリーの姉御が造った最高傑作って話だぜ?ニーフの野郎は、これをお前さんに渡せっつってたよ」


「姉御が?」


「ヤー」


 ゼレフはそう返事をして、俺の前に出た。


「ヤナギ・タケル様のマスター登録をお願いします」


 俺は親指を噛み切って血を出し、ゼレフの口へと血を注いだ。


 すると、彼女の目が一瞬赤く光り、元の藍色の瞳へと戻っていった。


「指紋認証、完了。遺伝子認証、完了。マスター登録を完了しました。よろしくお願いします」


 彼女は着ていたドレスの裾をつまみ上げて一礼した。


「それじゃ、俺は個室でニーフに連絡取ってくるわ」


「あいよ。それじゃぁ俺も次の仕事に向けて準備でもしますかね」


 仮面の男、スターリンはそう言って個室へと足を運んだ。












『着いたか?』


 個室に戻ると、タケルはすぐにニーフをコールした。


「あぁ。バッチリ贈り物も届いたぜ、ニーフ」


 個室で銃器のメンテナンスをしながらそう答えた。


『では、さっさと本題を話すぞ』


「続けてくれ」


 相槌を打って、話を続けさせる。


『オリガヤ・フレア邸、俺の実家に、華一族の貴族のフルーレ・リハヴァインが住んでいることは知っているな?」


 フルーレ・リハヴァイン。確かアロンの話じゃ、突然家政婦として雇ってくれとか言って、ニーフの所に移り住んだんだったか。


 そいつは、実はアロンを動かすために古継乃大蛇ふるつぎのおろちが送り込んだ工作員でしたって話だったか。


『そいつを使って、華一族の巣穴を探してくれ』


「了解。戦闘になった場合はどうする?」


『そのときは、華一族の血の石を持って支部に帰ってきてくれ。尾行に注意しろよ?』


「言われずもがな。それくらいは常識の範疇だぜ、参謀?」


 俺はニヒルな笑みを浮かべて、そう答えた。


『極力騒ぎは起こすなよ、ブラッジャー?』


 ニーフは皮肉を言って、念話を絶った。

ラ・ピュセル


魔導兵器として造られたオートマタ。噂では、遺伝子を操作してエヴァを強化されたデザインドチャイルドとも言われている。製造方法は造った本人しか知らない。主に人の形をしているが、獣の形をしているものもある。マスターに憑依することで、持ち主の身体能力、魔力を向上させ、物によっては特殊能力アビリティを発現することもある。


次回「27」

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