「24」ステータスカード
「あ、チホちゃん。おはよう!」
食堂につくと、ヒツギが俺に挨拶をした。
「おはよう、ヒツギ。あれ、タケルは?」
「昨日、徹夜だったから、疲れて寝てるよ。今は仮眠室で寝てるよ」
「そっか」
俺はちらりといつもタケルが座っていた席を見ると、机の上に置かれた紙を見た。
「ところで、それは?」
その紙には、幾何学的な模様が、青い線と赤い線の二種類で書かれていた。
「今話題のステータスカードだよ。チホちゃんに一昨日手伝ってくれたお礼をしようと思ってさ。昨日買ってきたんだよ」
「ステータスカード?」
俺はそれをヒツギから受け取り、しげしげと見つめる。
一見、ペラペラな紙に幾何学的な模様が印刷されているだけのように見えるが、手に取ってみると、少し重量感のある硬い板だった。
「そ。自分の能力を数字で表してくれるんだってさ。使い方は、上のボタンを押すと起動するよ。後は自分で試行錯誤試してね」
俺は彼女の説明を聞きながら、電源をつけた。
すると、さっきまで幾何学的な模様を映していた面がスクリーンに変化して、そこにステータスと思われるものが表示された。曰く
名前:ヤナギ・チホ
レベル:測定不能
種族:人神
称号:英雄
人界の王
夜の女王
死神殺し
魔王
人神
筋力:10
敏捷:測定不能
魔力:1000000
攻撃:測定不能
防御:測定不能
アビリティ:測定不能
状態異常:不死身
(筋力だけやたらと低いな。しかもほぼすべて測定不能になってるし。使えねぇな)
「ステータスは、成人男性のステータス平均値を1とした時の数値だからね」
「成人男性の平均が1?!え?!じゃあ、俺の筋力はその10倍ってことか...。すごいな、これ」
「え?!チホちゃん筋力10だったの?!すごいじゃん!そんな人初めて見たよ!」
しかし、この称号はなんだよ。魔王って、高校時代の俺のあだ名じゃねぇか。
俺はスクリーンを横にスライドしてみた。すると、画面が切り替わって、最上部に『アイテムストレージ』という表記が出現した。
その中には、いろんなアイテムの名前が表示されていた。一番上から、
・英雄の衣装
・覇王の衣装
・夜のドレス
・死神の衣装
・魔王の衣装
・人神の衣装
・イモウシス
・
・
・
(...イモウシス?ってまさか)
俺はイモウシスと表示された文字列をタップした。すると、横に吹き出しが現れ、『説明』と『具現』の二種類の選択肢が現れた。俺は具現を選択して、イモウシスを手に取った。
「やっぱり、あの剣だ」
俺は懐かしいその剣の重みを感じて──いや、ほぼ使わなかったわけだが──それを撫でた。
「うわっ?!チホちゃん、それ何?!」
「イモウシス。相手の武器の性能を真似る剣だよ。いやぁ懐かしいな。全然使ってなかったからなぁ...」
俺はそれを腰に差すと、他には何が入っているかを確かめたが、他に面白そうなものは入ってはいなかった。
「ありがとう、ヒツギ。大切に使うよ」
俺はそう礼を言った。直後、朝食を運んでくるワゴンの音が聞こえた。
「さて、そろそろ食べようか」
「Meinst Du? König-Nero」
(なんのつもりだ?ネロの国王)
ネロ王国王宮、応接室に、タケルとネロ王国の国王は対峙していた。
「Diese Aktion ist wegen der Yatonocumi」
(全ては夜刀之神のためだよ)
「Yatonocumi? Meinst Du du──?!」
(ヤトノカミ?まさか、貴様は──っ?!)
タケルはこの時、すべてを理解した。ニーフに伝えられた、言葉の意味を。
彼は、特化型のデバイスの銃口を俺に向けた。
咄嗟に横に跳ぶタケル。
「しくじった?!」
肩から血を流し、床に倒れるタケル。
それに容赦なく銃口を向けた国王は、ニヤリと笑い、言った。
「All das Wohlbefinden der Zeit mit dem Sie , ich war hier und jetzt erschöpft , Pis 」
(お前の全ての運はここで尽きたんだよ、小僧)
「Negativ. Es ist Ihr Glück läuft heraus!」
(違うな。運が尽きたのはお前の方だ!)
直後、タケルの周囲に赤い弾丸が出現し、それが男の方へと飛んでった。
スペルミス、及び文法ミスがあれば、ご報告ください。
次回「25」




