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絶滅種族の転生譚《Reincarnation tale》  作者: 記角麒麟
王姫と執事 Und der Butler
100/159

「10」デバイス

祝!第100部!

「では、前回、といっても二日前ですが。復習をしましょう」


 ヒエロは電子黒板をタップした。


「前回の内容を覚えておりますか、陛下?」


「勿論覚えている。アマイ・サクによる、己の魔力を消費せずに魔法を扱うデバイス、たしか名前はNot using magic power略してニュンプと言ったか?」


 ヒエロが黒板を撫でた。そこに、ニュンプの図と名前が表示された。


「お見事。それで?」


「商品名、ニュンプ。通称デバイス、または法機ほうきと呼ばれるものは、自分の魔力を消費しないため、コストが安くすむ。故に、その普及は、350年ほど前から急増した。結果、現在では、ニュンプ無しでの魔法の使用は希で、全国の魔法科学校でも、それの普及と共に、それを活用した授業が主流となっている」


「上出来です、陛下!」


 だって現在絶賛カンニング中なんだもんな。答えられない通りがない。


 俺はニヤリと口を歪ませた。


「...陛下。カンニングとはまた、古典的な...」


「メアリー?!」


 彼女はため息をついた。


 呆れたのだろう。


「陛下、カンニングはよくありませんぞ?」


 その台詞を聞いたヒエロが、肩をすくめて注意する。


「わかってるよ。ったくもぅ」


 でもまぁ、やめる気はしないのだが。


「それでは、授業を再開しましょう。今回は、陛下にはデバイスの仕組みを理解していただきます。技術ファイルを開いて──」
















「んーった。やっと終わった」


 午前の授業が終わり、俺は椅子の上で伸びをした。


「陛下、ここの式が間違っていますよ?」


 隣から、ニーフが俺の机上の魔法学の演算式が間違っていることを指摘する。


「あ、本当だ。符号が逆になってた」


 それは魔法数学という科目で、魔法式を組み立てるための設計図をつくるための学問だ。


 俺はイルスで高校一年生を途中から飛び級したため、そこら辺りがよくわかっていなかったのだ。


 だからククルんに教えてもらっていたのだが、彼女の説明は感覚的過ぎてよく理解できなかったのだ。


 その点、ヒエロの講義は分かりやすいが、難しい。


 俺は間違いを直して、ファイルを閉じた。


「午後の授業まで三時間はあるな」


 エディスタは、別の教室で簡単な算数や国語の授業を受けている。彼女の授業は午前までだという話だから、もうそろそろ終わっている頃だろう。


「エディスタを迎えに行くか」


 俺は席をたって、教室をあとにした。
















 教室を出ると、エディスタが走りよってきた。


(どうやら彼女の方が早かったらしい)


 俺はエディスタの頭を撫でた。


「チホ様!」


 彼女は嬉しそうに顔を歪めた。


 彼女の猫耳も、嬉しそうに垂れている。


(本当、なんでこんなにかわいいんだろう。こいつは)


 無論、小動物的な意味ではあるが。


(それにしても、猫はいい)


 猫と言えば。


 そういえば昔、変身を試してみたくて黒猫になったとき、フレアが猫なで声、と言うのだろうか。あんな感じで俺に話しかけてきたことがあったか。


「ふふっ。お前は本当にかわいらしい」


 俺は目を細めてそう言った。


「自分だけのケースに閉じ込めて、永久凍結して飾って置いておきたいくらいだ」


「陛下、それはいささか猟奇的ではありませんか?」


 ふともらした俺の独り言に、メアリーがそうコメントした。


「本気になれば、それくらい余裕だぞ?俺は」


 ニヤリと俺は口角をあげた。


 ニーフとメアリーが、そんな俺を見てぞくりと肩を震わせる。


 エディスタは話がわからないのか小首をかしげている。


(本当に、こういうところがこいつはかわいい)


「さて、いつまでもこんなところではなんだしな。すこし外に出ようか」


 俺は彼女から手を離すと、お気に入りスポットめがけて足を運び出した。


 名残惜しそうに両手を頭にのせるエディスタを眺めながら。

次回「11」

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