「10」チホの企み 2
今回は少しピンクな内容が含まれています。しかし、ここを飛ばされると、後々話がわからなくなりますので、要注意を。
俺の考えはこうだ。
突然の侵入者に、彼女たちはどう対応するのか、その対応力を確かめてみよう。
ということだが、それは建前であって、実際のところは以下の通りだ。
水着って下着みたいなもんだよな?
なら、それをプール以外の場所で男性、例えばケントなんかに見せたらどんな反応が起こるのかな?
この七年間トマヤで暮らしてきてわかったが、下着や裸を見る見られるは恥ずかしいらしい。
さぁ、どうなる?
面白そうだし、ちょうどいいから実験してみようか。
というのが本心だ。
こういうことなのだが。
(やっぱりうまくいったな....じゃねえや。ダメダメじゃないか。全く対応手来てないし)
「チホ、お前は何をさせてるんだ!?」
ケントが顔を真っ赤にして、俺の方を向く。
「暑いから、水着のまんまやろうかなって。ほら、プールに魔物が来て俺が魔法で潰したからプールの設備がダメになったってメールしただろ?」
俺はニヤニヤしながら話す。
「いやまぁ、そうだけどさ....って、お前それ弁償できるの?」
後半の彼の言葉を無視して、俺は話を続けた。
「それとも何か?にぃはリーシャを見て何かイケない想像でもした?」
聞くと、ケントはため息をついた。
小さい声で無視かよと言っていたが、俺は聞かなかったふりをする。
「久しぶりに帰ってきたと思ったら....。で、用件は?来たら話すって書いてあったよな?」
俺は仕方がないと思いつつ、用件を切り出した。
「コナタとにぃで、一対一の模擬戦をしてほしい」
というのはもちろんのこと建前だ。
ケントの目線がコナタに向く。
瞬間、ケントの顔が赤くなり、コナタも頭から湯気をたてていた。
「今のコナタはだいたいにぃと同じくらいの強さなはず。にぃはたしか、マロックスと一対一で戦えるよね?」
「あぁ、確かに。剣を使えば、だけど」
ニヤリと微笑む俺。
その横顔に何を察したのか、コナタがはっとした表情のあと、だんだんと顔色が真っ青になっていく。
コナタもどうやら用件(本命)に気が付いたらしい。
「改めて言う。にぃ、コナタと模擬戦をしてほしい。もちろん、模造刀を持ったにぃと、素手のコナタで」
「師匠!勝手なこと言わないでくださいよ!」
更衣室にコナタをつれていった後。
「相手武器持ってるんですよ!?勝てるわけないじゃないですか!」
俺はそんな弱気な彼女の声を聞いて、少し安心した。
「コナタ、恐怖こそ、生き抜く術の基本。それを忘れていなくて俺は安心したよ」
「じゃあ何でこんなことするんですか!?」
「お前を育てるためだ(恋愛的な意味で)」
俺はそう言って、彼女に下着を渡す。
「いくら模造刀といえ、当たれば痛い。これをつけて試合に臨め」
「....わかりました」
彼女はそう言うと下着を受けとった。
彼女は、今着ている胴着を脱ぎ、水着を脱いで裸になる。
その水着の下から現れた体は、未だ発育途上な上半身、鍛えぬかれた、しかし、筋肉剥き出しではない、しっかりと柔らかい脂肪でコーティングされた18歳の少女の体だった。
いまだ、身長は中学生並みだが、頼もしいと感じられる大人の覇気が感じられた(笑)。
彼女が着替え終わるのを見ると、俺はコナタとリーシャを外に出し、ケントを迎え入れた。
「何で着替える必要があるんだよ?」
そう聞いてくる兄。
そんな兄に、俺はとある記憶を思い出させる。
「まさかとは思うが、二年前の勝負、忘れては無いよな?」
そう。あのときケントが吹き掛けてきた勝負は、一瞬で終わったが、そのあとは一瞬ではなかった。いくつもの骨が脱臼し、骨折し、意識がしばらく戻ってこなかったのだ。
「なんのこと?」
残念、記憶まで逝っちゃってた。
「何でもない。これに着替えてくれ」
そう言って俺が出したのは、同じ素材でできた男用の下着と、黒地の布でできた胴着。
「わかった。チホ、少し外で待っていてくれないか?」
そこで俺はニヤリと笑う。
「俺が外に出た瞬間、何をするつもりだ?」
「いや、これに着替えるんだが?」
怪訝な顔をして答えるケント。
「にぃはむっつりさんかな?先程までここでコナタが裸になって着替えておったというのに。幼児体型は気にならんのか?」
いった瞬間、彼は顔を赤くした。
「着替えられないなら、妹が着替えさせてあげるのもアレだし、コナタにやってもらうか?」
すると、彼はわかったから早く出てけ!と言って、俺を更衣室から追い出した。
更衣室から追放されると、目の前には下腹部辺りをモジモジとするコナタがいた。
「何を妄想しているのだ、コナタよ?」
声をかけると、彼女はビクッと震えて、俺の方を見る。
「な、何でもありません!」
(....つまり、エロいこと妄想して気持ちよくなってたわけだな)
俺はニヤリと微笑んで、コナタの耳元に口を近づけ、こう言った。
「後で着替えのシーンをビデオに撮って見せてやる。ただし、お前が勝てばな?」
もちろん嘘である。
俺は彼女から離れると、一層ニヤついた笑みを向けた。
次回「11」




