表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、異世界で金狐に転生してしまいました  作者: 朧月
金狐と仲間達の絆編
23/24

第23話 微睡みの中で

かなり投稿期間が空いてしまったので簡単なあらすじを…あ、お久し振りです(震え


 キメラとの激闘の末、自ら施した封印を無理矢理解放した為に意識を失ったウルと、解放されたウルの本当の姿を目にしたパートナーのレオン、そしてパーティーメンバー達。

 彼等は困惑したまま、ウルの目覚めを待つが…

 一点の濁りもない暗闇が支配する空間…誰にも邪魔される事のないたった1人の為に在る空間…そんな甘美な微睡みの中、彼女は思った。





………私は…誰?





 誰に問うでもなく、ただそう思った。





━━━あなたは、誰だと思う?





………え?





 何処からともなく唐突に掛けられたその『声』は





 どこか、懐かしくて





 どこか、寂しくて





 何故か、私の心が揺さぶられる……





━━━あなたは、誰?





 先程よりもはっきりとした『声』が、彼女に問うた。





……分から、ない





━━━本当に?





……本当に





━━━もう一度聞こう







━━━あなたは、誰?





 たっぷりと間を置いた後、再びそう問われた。



 瞬間、何かが頭を過ぎる。



 見慣れた金色の美しい毛。



 スラリとしたフォルム。



 空を仰ぐその姿は━━━





……私は…きん、こ…?





 やっと自分の事を思い出せたと、少しだけほっとしたのも束の間、





━━━それはあなたの種族名であって、あなた自身の事ではない



━━━本当のあなたは、誰?





 何度も問われるその質問に、彼女はむっとした。



 何故、そんな事を聞いてくるのか。



 この『声』は、一体何なのか。



 自分は、金狐の筈である。



 種族名?そんなもの、知った事ではない。



 だって、それは私なのだから。



 金狐が私ではないとしたら、それは一体何で、私は何者だと言うのか。



 私は金狐。この世に唯一無二の存在だ。



 この世界を守る為に生ま、れた…聖…なる…………



 ……………あれ?



 違う、私は…金狐は魔獣の筈なのに……何故……?





━━━……あなたは、酷く現実逃避をするのが上手いみたいだね





 その『声』は少し皮肉気にそう言った。





……そんな事ない





━━━じゃあ、何故あなたは思い出せない……いや、思い出そうとしないの?





……何を





━━━惚けるつもり?そうやってまた逃げるの?現実から逃げ続けていたって意味がないくらい、本当は分かっているんでしょう?





そんなこと………





 ない。と言おうとして、何故か言葉に詰まった。





━━━ほら、図星





っ……





 痛いところを突いてくるその声に、とても腹が立った。





私の…何が分かるって言うの…あなたに…





━━━分かるよ、ずっとあなたの側にいたから





…え?





━━━『私』は知っている……今、あなたを待っている人達がいる事も





私を…待ってる…





━━━さぁ、行きなさい。皆、あなたが戻って来る事を待ち望んでいるのだから





 それまで真暗で、何も見えなかった筈の視界が一瞬にして眩しい光に覆われた。



 途端に足の届かない深い海で溺れた時の若干の苦しさや気怠さに襲われ、一気に浮上していく様な感覚で覚醒した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ