第2話 思い
私は自分に向けられている視線に気付いて目を覚ましました。
すると、今まで寝ていた彼がその美しいエメラルドグリーン色の瞳で私を見つめていたのです。
ちなみに彼は、淡い青の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ20代前半位の見た目の青年で、結構整った顔立ちです。座っているので分かりませんが、背はとっても高そうです。
どうしたのでしょう?何故か彼は私を見たまま動きません。あ、もしかして魔獣が近くにいたから驚いてしまったのかもしれませんね。それよりも、もう体は大丈夫でしょうか。とても心配です。本人に聞いてみましょう。言葉は違えど気持ちは伝わると思うんです。試しに聞いてみることにします。
「きゅん?」
私は彼に、大丈夫ですか?ときいてみました。すると彼が驚いたように、
「ま……さか、お前が俺を助けてくれたのか?」
と聞いてきたので、私は「きゅん!」と言って彼に応えました。
そして私は、彼が目覚めたことがとても嬉しくて尻尾をぱたぱたと振り、彼のお顔を舐めました。すると、私が喜んでいるのが伝わったのか彼は微笑みながら私の頭を優しく撫でてくれました。
ふふっ、嬉しい、嬉しい!
俺がツヴァイテイルと戯れてから数十分経ち、俺はようやく辺が暗くなって来ている事に気付いた。今日は収穫が無かったが、いつまでもこうしている時間は無いだろう。
いつ魔物が襲ってくるかわからないからだ。
だからもうそろそろこの森を出なければならない。
「ツヴァイテイル、悪いが俺はもうそろそろ帰ることにするよ」
「きゅ?きゅう……」
俺が帰ると言った途端、ツヴァイテイルはあからさまに悲しそうに耳と尻尾をだらんと垂らしてしまった。…もしかして、俺の言葉を理解しているのか?そんな事を思っていたが突然、
「……きゅん!」
と鳴いてツヴァイテイルが俺から少し離れた。そして俺を振り向き、また少し離れた。どうやら出口まで案内してくれるようだ。俺はレッドグリズリーから逃げる際に、森をあやふやに走り回ってしまってどちらに行けば良いのかわからなかったので助かった。そして俺はツヴァイテイルの後をついて行った。
俺がツヴァイテイルと共に歩き始めてから30分程経っただろうか。辺はすっかり暗闇に包まれてしまった。出口まで必ず何匹かの魔物に出会すだろうと覚悟して警戒をし続けていたのだが、此処まで一匹たりとも姿を見る事はなかった。もしかしたらこのツヴァイテイルが魔物を避けて道を選んでいるのかもしれない。
こんな事を考えている内にどうやら出口に辿り着いたようだ。
辺りはすっかり暗くなってしまったが、此処からならば一人でも帰る事が出来る。
「ツヴァイテイル、此処まで案内してくれてありがとな」
「きゅん!」
俺が礼を言うとツヴァイテイルは嬉しそうに鳴き、尻尾をぱたぱたと振った。これはまるで犬だな。そんな事を考えていると、不意にこのツヴァイテイルを連れて帰りたくなった。
「なぁツヴァイテイル、もし……もしだぞ、そのー、もし良かったら……俺と一緒に行かないか?」
「きゅう?」
「あ、いや、嫌ならいいんだ。けどもしお前が良いんだったら俺のパートナーになってくれないかと思ってな……」
「きゅん?きゅん!」
「え?い、良いのか?」
「きゅんきゅん!」
「よっしゃ!ならこれからよろしくなツヴァイテイル!」
「きゅん!」
もしかしたら本当に俺の言葉を理解しているのかも知れない、そうだったらいいな。
そう思いながら俺達は新たな仲間と一緒に、街へと歩いて行ったのだった。