第18話 悪魔の反撃
「ウル!!」
反射的に茂みから飛び出してしまったレオンにキメラが目を向ける。
その威圧感に圧倒され、一歩後退る。
「きゅっ!?」
その声からウルの驚愕と焦燥感が伝わってくる。
その時、
「グガアアアァアァァアァアアアァアアァア!!」
新たな標的を見つけたキメラはまるでウルに攻撃を当てられなかった為に溜まった鬱憤を晴らす様に、自らに向かって飛び出して来たレオンへと巨大な火球を放った。
発動までに掛かった時間はほんの僅かで、速度はかなり早い。
しかも大量の威圧感を全身に浴び、体が緊張して硬直してしまったレオンに避ける事は出来ないだろう。
瞬間、レオンの前方……火球の前に金色の『何か』が躍り出た。
そしてその『何か』は木漏れ日を反射し美しく輝く金色の尾の『1本』でその火球を真っ二つに『斬った』
そして、大量の魔力の塊である火球は全ての魔力を制御する事が出来なくなり、大爆発を起こした…
爆発の衝撃により周囲の木々は薙ぎ倒され、強風が怒り狂ったかの様に暴れまわる。
そして強風によって間近にいたレオンは吹き飛ばされ、離れた大木にその体を強く打ちつけた。
火球を放ったキメラも同様に吹き飛ばされ体を打ちつける事になったが、既に感覚が鈍っている為にダメージを負っただけで狂った戦意が消失する事はなかった。
グレン達は、それぞれ付近にあった木々や岩にしがみつき難を逃れた様である。
どれ程の時間が過ぎただろうか。長くも短い時間が過ぎ、煙が晴れた時。その場に存在していた者達は見た。
広範囲に広がる巨大なクレーター。強風によって薙ぎ倒され、爆発で発生した炎で燃え盛る木々。
そして…
クレーターの中心部で死んだようにピクリとも動かず横たわる金色の狐……