表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

第17話 歯車の一欠片

「ガアアアァァ……!」


 遠くから苦しそうな『何か』の叫び声が響いた。


「っ!?なんだ今のは!?」


 唐突に響いた声に驚き、グレンがたまらず声に出す。


「……聞いたことの無い鳴き声ですね……しかも私達が来た方向から」


「……ウル、何か隠してる……?」


 まさに2人のーウォルターとアイザックのー言う通りである。

 2人はウルが突然動き出した事、自分達がウルによって連れて来られた事、ウルが姿を消した事、連れて来られた方向とは反対の方向から『何か』の鳴き声が聞こえた事…これらの事からウルが鳴き声の主である『何か』に関係しているのではないかと推測したのである。

 だが腑に落ちないところも存在する。だからアイザックは断言せず、疑問を口にしたのだ。


「ウルが?……確かに今日のウルの行動は変だけど、何か考えがあって行動したのかも知れないじゃないか!」


 ウルのパートナーであるレオンは、ウルを疑う様な者を……例え仲間であっても許さない。


「分かってますから落ち着いて下さい。それより、これからどうします?」


 レオンを落ち着かせ、ウォルターが問う。

 だが声が聞こえた時点で既にそれは決まっている。


「勿論鳴き声の発生源に行くに決まってんだろ!」


 語尾にドヤァと付きそうな顔でグレンが応える。




 格好悪いよグレンさん……


 そう、誰かが呟いた気がした様なしなかった様な…




 若干1人ウルの事が気に掛かるのか納得いかないような顔をしているが、こうしてレオン達は声の発生源である『何か』へと向かって行ったのである。










 鳴き声が少しずつ大きくなっていく。『何か』へと着実に近付けているようである。


「ガアッ!グガァッ!ガアアアアアアア!!」


 鋭い鳴き声と共にズドンッ、バギバキッと地面を蹴る音や木々が折れる音がする。


 レオン達は間隔を開けてその音がする場所を囲む様な配置で茂みに潜んだ。

 茂みの中から覗くと、そこには鳴き声を発していた得体の知れない『何か』がいた。


「っ!?」


 その禍々しい姿に全員が息をのむ。


「な、何だあれは……」


 絞りだす様に呟いたグレンの問いにウォルターは震える声で答える。


「……初めて見たので確証は持てませんが、あの姿……キメラと言う魔物かも知れません……」


「キメラ!?それって禁忌なんじゃ!?」


 そう、キメラとは人工生命体であり、数々の生物を掛けあわせる事によって生み出される。

 それによって絶大な被害を生み、その忌み嫌われる姿もあって禁忌とされたのである。

 だがそれはレオン達の国……『フィオーレ王国』の法律であって、敵国である『アレクサンドロス帝国』の法律ではないのが現実なのだ。


 そんな中レオンは1人、思案していた。

 キメラの暴れ方が妙なのだ。不審に思い、目を凝らすと……


「っ!?ウル!?」


 そう、そこには巨大なキメラと応戦しているウルがいた。

 グレン達もレオンの直後に気付き、驚愕に目を見開いた。


 何故ここにウルがいるのか、何故キメラと戦っているのか、『あれ』は本当に『ツヴァイテイル』なのか……

 様々な疑問が駆け巡る。


 だがその時、舞いを踊る様な動きで応戦していたウルにキメラが狂った様に叫びながら力任せに振るった前足の鋭い鉤爪が掠り、美しい金色の毛が数本宙に舞った。


「ウル!!」


 反射的にレオンが茂みから飛び出した。


 そして今、『舞台』は整った。

今回初めてレオン達のいる王国と隣国である帝国の名前を出してみました♪

ちょっと遅めになってしまいましたが…(-ω-;)


通常通り誤字脱字が多く申し訳無く思っております(´;ω;`)

ご指摘頂けると助かります(。>ㅅ<。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ