第12話 世界一のギルドマスター シヴァン=ギース
二日連続投稿です
キングアイスバードとの戦闘の後、俺達は急いでギルドに戻った。ウルが倒れたからだ。
ウォルターが何か言ってた気がするが、今の俺には聞いている余裕はない。早くウルを助けなければ。
ちっ、嫌な事を思い出した。
そんな事より、早くギルマスに見せないと。
俺達が住んでいるのはフィオーレ王国王都水の都ベニス。
そこにいくつもあるギルドの一つ、正規ギルド『オラシオン』俺達はこのギルドに所属している。
ギルドとは冒険者達が集う場所であり、冒険者達の仕事を預かる場所だ。
ギルドには2酒類あり、一つ目はさっきも言った正規ギルド。これは国に認められたギルドであり、正当な仕事をこなす。
そしてもう一つは非正規ギルド。これは国に認められていないギルドであり、暗殺などの裏の仕事をこなしている。
この非正規ギルドを無くすのも、正規ギルドの仕事だ。
そして正規ギルド『オラシオン』のギルドマスター、シヴァン=ギース。
俺の恩人であり、世界一のテイマーだ。
この人なら魔獣のことについて一番良く分かってるから、きっとウルを助けてくれる筈だ。
バタンッ!という大きな音をたて、顔面蒼白にしたレオンが声を荒らげながら叫ぶ。
「シヴァン!シヴァンはいるか!」
「何だ何だ、いきなり大声出すなよ。一体何があったんだ?」
「シヴァン!戻ってたんだな、ちょうど良かった。ウルを助けてくれ!」
「ウル?誰だそれ?新人か?」
「俺の従魔だよ!キングアイスバードと戦っていきなり倒れたんだ!」
「従魔?どれ、見せてみろ」
そう言ってシヴァンは慣れた手つきでウルを診ていく。
「何だ、こいつは……金色のツヴァイテイルなんて見た事ないぞ。……新種か?」
「そんな事より早くウルを助けてくれ!」
「わかったわかった、ちょっと静かにしてろ。どれどれ……特にこれといった外傷は無いな。う~ん、魔力も安定してるみたいだし……一体どんな戦い方したんだ?」
シヴァンにそう聞かれ、レオンはキングアイスバードとの戦いについて教える。
「まったく、無茶な戦い方させやがって。どうして逃げなかったんだ、自惚れてんじゃねぇ!」
「うっ……すみません……」
「グレン達はどうした」
「あ……」
バタンッ!
「レオン!」
「グレン……すまない」
「まったく。レオン、ウルちゃんの事が心配なのは分かりますが、少しは落ち着いて行動して下さい」
「ん……行動、早すぎ」
「す、すまん……」
「まったく、どうしてこんな性格になったんだか」
「そんな事より!」
「分かってるから静かにしろ!はぁ、これは多分一度に魔力を使い過ぎて負担が掛かっただけだ」
「大丈夫なのか、すぐに治るよな!?」
「だから落ち着けって。大丈夫だよ、一晩眠ればすぐ治る」
「そうか、良かった……」
「まったく、早とちりもここまで来るとばかだな」
「なっ!てめぇ!」
「ちょっと二人共いい加減にして下さい!ウルちゃんが寝ているところで何やっているんですか!」
「………………」
アイザックが二人にじーっと黙れと無言の圧力を掛ける。それに耐えられなかった二人は自分の負けだと言うように口を開く。
「うぅ、すまん……」
「わ、悪かったよ……」
「はぁ、良いから早くこいつを医務室に連れて行ってやれ」
「あぁ、助かったよ、ありがとう」
レオン達はシヴァンに礼を言い、医務室へ向かう。
レオン達が出て行き、静かになったカウンターでシヴァンは一人、レオン達が向かって行った方を眺めていた。
「まさかあいつが魔獣をテイムするとはな……変わったな、レオン」
ウルが倒れてた日の翌日。
こんこんというノック音と共に良く知っている人の声が聞こえる。
「入るぞー」
「おぅ、おはよ」
「……おはよう」
「おはよう御座います、ウルちゃんの様子はどうですか?」
「……まだ、起きないんだ」
「そう……ですか」
レオンの言葉により、空気が重くなったその時だった。
「きゅ……」
「っ!ウル!」
「ウルちゃん!」
「ウル!」
「……」
レオン達は心配してウルの顔を覗き込み名前を呼ぶが、ウルからの返事は返っては来なかった。
「きゅう……」
「ウ、ル……?」
「ウルちゃんが、泣いてる……?」
「きゅん……」
また、ウルが小さく鳴いた。まるで何かを悲しんでいるかのように……
そしてその頬には、一筋の涙の跡が……
「ウル……ウル、ウル!」
ようやくレオンの声が届いたのか、ウルがゆっくりとその瞳を開ける。
「………………きゅ」
こうしてウルが目覚め、気が緩んだレオンから発せられた言葉によってあの出来事が起こるのであった。
レオン達が止める間もなく、その魔法は完成してしまったのである。
最後の方だけストーリーがおかしかったので修正しました