9/55
鯉のぼり、空を泳ぐってどんな気持ち?
体育の授業中。
「帰りにどっか行く?」と千星ちゃん。
「美味しいケーキ屋さん見つけました。そこへ行きましょう!」と、つかさちゃん。
二人とも気付いてる。わたしの空元気。
落ち込んでる理由はさすがに言えないけど…。
「うん、行く!行く!」と明るく答えた。
そして、更衣室で着替えていたら、つかさちゃんが突然――。
「五十鈴さん!逃げて~!――千星さん!!ダメ~~っ!!」
(へ?)
何が起こったのか分からないまま、千星ちゃんはわたしの両肩を掴み、向かい合わせる。
(え?なに?)
千星ちゃんの瞳は燃えている。メラメラ~っと。
(しまった!胸元隠すの、すっかり忘れてた!!!)
千星ちゃんの視線は勿論わたしの胸元。
「うっ!!ひょえぇぇぇ~~~~!!!」
信じられない!!
透に続いて、まさか女の子の千星ちゃんまで、こんな事するなんて~~!!
そして、わたしの胸には紅い花もう一輪。