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あなたとの夏の思い出作ろう

前半side:五十鈴 後半side:光星

「荷物番、お疲れさまです。白澤くんは五十鈴さんと遊んできて下さいね。それから、千星さんは穂高くんと飲み物買ってきて下さい」



と言って次にこの場を仕切るのはつかさちゃん。



「つ~か~さ~」

「あら?では、千星さんが荷物番して下さるの?」



と言い、こっちの反応なんてお構い無しにつかさちゃんは光星くんを連れて「千星さんの気に入りそうなものを買ってきますわ。待ってて下さいね~」と、あっという間に、つかさちゃん達の姿は小さくなっていく。



「あんた達も行けば?」

「千星ちゃん…?」

「私は重いんでしょう?そこの適度に軽い男と行けばいいじゃない」



(そ、そんな~、千星ちゃ~ん!!――でも、ソレって量れるものなの?)



「悪いな、千星。ちょっと、五十鈴を借りてくな」

「苛めたら、永久追放っ!」



(え?え?え?――ええ~!!な、何でわたし、担がれてるの~?)



「お、降ろしてよ~~!!恥ずかしいってばっ!!」

「さっき、千星が言ってた“重さ”って何?」

「え?…えーっと……それは…」

「何?」

「…“愛”……」



口元でもごもごと小さな声で呟く。


「ん?」

「だ・か・ら~、………“愛”…」

「え?」

「んもう!何度も言わせないでよ!!“愛”よ!!“愛”!!“愛”だって言ってるでしょう!!!!」



周りにいっぱい人が居るのに、わたしって何を叫んでるの~?


しかも、“愛”を叫んでるしぃ~~!!


透は笑ってる、目に涙を浮かべて。


わざと?聞こえてたくせにわざと何度も言わせたの~?



「なるほどな。それで俺が適度で、千星は重いって?」

「透~~~~っ!!!!」

「言っておくが、俺の方が重いから」

「――っ!!!!!」

「五十鈴なら、分かるだろ?」

「………」



“分かるだろ?”なんて言われても。


こういう場合、どう返事すればいいの?


困ってるわたしを見て、透は夏の太陽と同じぐらいの眩しい笑みを見せた。






        *      *      *






その頃、俺は麻生さんに連れられジュースと買う事に。


荷物番の次は荷物持ち。


手っ取り早く、買い物を済ませ、戻ると姉さん一人がポツンと座っている。



「はい、お待たせ、千星さん。これでも飲んで元気出して下さいね」

「ありがと…。で、何これ?」

「スイカジュースよ♪」

「ふ~ん」



“ふ~ん”って、それだけ?


スイカを選んだ麻生さんも麻生さんだけど、普通に飲んでる姉さんも姉さんだ。


ちなみに俺と麻生さんはレモンソーダ。



「千星さん、いずれひな鳥は親鳥から巣立っていくものよ。遠くから見守るのもとても大切な事だと思うわ」



(それって、ひな鳥が五十鈴ちゃんで、親鳥が姉さん?)



「それに、父親として複雑な気持ちも分かるわよね」

「は?ちょっと待って!親鳥は親鳥でも、私が父親なの?どうしてよ?」

「私が母親だからです」

「………」



鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている姉さん。


しかも、五十鈴ちゃんの父親だって~!!


分かる!分かる!あの過保護っぷりはまさに、わが娘を溺愛する父親そのものだ~~!!!



(笑いたい!笑ってしまいたい!!思いっきり、笑いたい~!!!)



「光星」

「穂高くん」



二人同時に呼ばれ、しかも冷ややかに睨まれ身体が硬直する。



「さしずめ、光星は――」

「そうですわね――」



「「おじいちゃん」」



何も二人声を揃えて言う事ないと思う!!


しかも、“おじいちゃん”って!!せめて、叔父さんぐらい…って、そうじゃなくて!!


俺って、所詮、その程度な訳――?



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