太陽ばかり見てる夏の向日葵
今、わたし達はプールサイドに居る。
「あんた達は荷物番!!」
そう言って、この場を仕切る千星ちゃん。
「いいよ、行って来て」
と、返事をしたのは光星くん。
最初は3人で行くつもりだったけど、いつの間にかいつのも仲良し5人組。
浮き輪一つに掴まって、流れるプールに身を任せる3人の女の子。
眩しい真夏の太陽と、冷たい水は気持ちいい。
「――五十鈴さん?」
「な~に?つかさちゃん」
「この浮き輪、結局白澤くんが膨らましたのよね?」
「うん、そうだよ。わたしがいくら空気を吹き込んでも膨らまないんだもん!!」
「――それって……間接キス♪」
「へ?…ええっ!!!」
「でも、お二人の事ですから、今さら気にする事も、ねっ」
(“ねっ”って!“ねっ”って!!どういう意味~~?)
全くって言っていいほど邪気の無い笑みを浮かべるつかさちゃん。
この照り付く真夏の太陽の日差しなんて関係ありませんって感じの涼しげな笑みだ。
「つかさ!!バカな事、言わない!!」
「あら、どうして?付き合ってるんですもの、それ以上の事もあるのは当然ですわ」
「なっ!!あ、ある訳ないでしょう!!ねぇ、五十鈴?」
「うっ、うん!!!」
千星ちゃんの勢いに負けて、コクコクと頷いてしまう。
でも、負けるも何も、本当に無いものは無い。
「そうなの?白澤くんも大変ね~」
つかさちゃんは“大変ね~”と口では言ってるけど、目は笑ってる?
「“大変”ってどのぐらい大変なの?」
思わず真剣に尋ねてしまう。透ってずっと大変だったの?でも、何に?
「う~ん、どうかしら?人それぞれですし…。まぁ、白澤くんの事だから、きっと気は長い方よね~」
「そんなの、どうでもいいでしょう!!この話は終わり!!」
「嫌だわ~。千星さん、ヤキモチなの?」
「な、な、何よ!!悪いっ!!!」
「千星さんの“愛”って、重いわ~」
つかさちゃんがくすくすと笑ってる。強気な千星ちゃんが押され気味だなんて…。
「ち、千星ちゃん!!重くなんてないんだからね~~!!!」
ガバっと、わたしは千星ちゃんに抱き付いた。でも、ここは――。
「きゃ!五十鈴、なに…す……ごぼごぼごぼ…」
「ご、ごめ……、千、星、ちゃ、ごぼごぼごぼ…」
二人一緒に水中から顔を出したら、つかさちゃんは天使の微笑を見せて「今世がダメだから来世で一緒に……なんて、考えてるの?」と。
「五十鈴となら、それもいいわね」
あ、あのね、千星ちゃん!
わたしは、まだまだお花畑は見たいとは思わないから~~!!!