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雨の日は、お気に入りの傘で出掛けよう

side:五十鈴


相合傘。


初めてじゃないけど、今日はどうしてかドキドキドキしてる。



「透、濡れるよ~」



と言って、透が持つ傘の柄を二人の真ん中に押し戻す。



「だったら、もっとくっ付けよ」

「うわっ!」



(こ、腰に手を回すな~~!!)



「五十鈴、暴れたら濡れるだろ!」

「と、と、透!て、て、手!!」



透は笑ってる。しかも、嬉しそうに…。



「放してもいいけど、帰ったら“むぎゅっ”ってしてもいい?」

「なっ?!」



透は笑ってる。相変わらず最上級の笑みだ。だから、その笑みは反則だよ!


でも、隣に透が居れば、それだけで艶やかに世界は回る。



  





玄関には忘れた赤い花柄の折りたたみの傘。



「ここで、待ってて。タオル取ってくる」



素早く靴を脱ぎ、タオルを持って透に渡す。


リビングで透がメモらしきものを見てる「詩帆さん、羽澄と出掛けてるって」という声が聞こえてくる。


「え?そうなの?」と返事をしつつ、わたしは2階へ。透の着替えを取りに。


何度言っても、透の服をわたしの部屋に置く母。


着替えを持って階段を降り始めた所で、つるっと足を滑らせて――。



「うわぁあ、あ、あ、あ~~~~!!」

「い、五十鈴?――っ!!!!」



自分で言うのもどうかと思うけど、色気の無い悲鳴を聞きつけて階段下まで来てくれた透の上にわたしは落ちてしまった。



「と、透!ごめん!大丈夫?」

「痛って~。…まぁ、なんとか」



その時、ガキャっと玄関のドアが開く音と共に二人の女性が入ってくる。



「ただい…ま……」

「たっだい…ま…」



タイミング良く(?)帰って来た、母と羽澄さん。


今、わたしは透の上に乗っかってる状態な訳で。



「きゃ~ん♪五十鈴ちゃんが透の事、襲ってる~~♪」



(ち、違うから!!羽澄さん!!それは絶対有り得ないってば!!)



「透くん、廊下じゃなくて部屋でしていいのよ♪」



(お、お母さんまで!!何て事をっ!!誤解よ!!誤解なのに~!!)



母と羽澄さんはそれだけ言って、にっこり笑ってそのまま我が家の玄関を後にした。


きっと、お隣の白澤家に行ったんだと思う。



「五十鈴…」

「――…は?――って、何で、ふふふふ」

「“ふふふふ”って、何だ?」

「ふ、服!!何で服、着てないのよ~~!!!」

「だって、濡れたし、着替えの途中」



透は上半身、裸!!!


この状況なら誤解されてもおかしくない?


待って!!!違うでしょう!!!



「ど、どうして!わたしがおそ、おそ、おそそ、おそって――」

「五十鈴になら、襲われてもいいけど」

「!!!!!!!」



だ~か~ら~、その笑みは反則だってば~~~!!!

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