緑の木の葉がサラサラと風に泳いでる
side:透
いい加減、もう仲直りしたい!
何度も「ごめん」と謝っても“許す”とも“許さない”とも言わない五十鈴。
放課後、下駄箱を見て、まだ校内に居る事は確認済み。
五十鈴が居そうな場所を探して回る。
教室、渡り廊下、図書室…。
(い、居た!!)
ちょうど職員室を出る五十鈴の姿を見つけた!
「五十鈴!」俺は声をかけたと同時に、「五十鈴!」と俺の他にも声をかけるヤツ。
この場に誰が居ようと、このチャンスを逃す訳にはいかない。
俺は謝罪の言葉を五十鈴に――。
「ごめん!もう二度としないから、許してくれ!」
「ごめん!もうあんな事しないから、許して~!」
声が重なった。しかも同じ内容の言葉を――そいつは…。
「千…星…!?」
「し、白澤!」
お互い間の抜けた顔。五十鈴もポカンとした顔で見てる。
「クスクス…ふふふふ…イヤですわ~。千星さんも白澤くんも同じ事を…。あ~ん、可笑しくて涙が~!」
(あ、麻生…。おまえ、いつから…何処から見てた……)
「五十鈴さん、許して差し上げては?」
「…へ?…あ、うん…」
分かってるのか、分かってないのか、呆気に取られたまま五十鈴は俺たちを許してくれた。
(…?ちょっと待てよ。“俺たち”って…?)
帰り道、五十鈴に訊いてみる。
「千星のヤツ、おまえに何したんだ?」
「え?」
「……」
「……」
「五十鈴?」
「~~~~!!透があんな事するから!千星ちゃんまでっ――!!!」
途中まで言いかけて、真っ赤な顔して先に走って行く。
「あ、おい!五十鈴!」
取り合えず、これで仲直り出来た、かな?