桜の花びらが風に舞う季節
話ごとに視点が変わりますが、基本は主人公の五十鈴です。
わたしは告白された。
相手は白澤 透。
「五十鈴、俺と付き合おう」
「は?」
「“は?”じゃなくて“はい”だろ?」
「はい?」
肩を落とす、あいつ。
何て言うか、いきなりそんな事言われても…。
心の準備というものがあるでしょう?普通!
「わたしの事、好きなの?」
「あぁ」
にっこりと笑う。
癪だけど格好良い。最上級の笑みだ。
「いつからよ?」
「生まれた時から」
「………」
わたし達は同じ年の幼馴染み。
しかも、家はお隣りさん。
すでに16年目の腐れ縁。
「――帰ろうか?五十鈴」
「へ?…あ、うん」
いけない、いけない。
予期せぬ突然の展開に、ぼーっとしてしまった。
先を歩く、あいつ。
広い背中を追いかける。
わたしの左手はあいつの右手を取る。
少し驚いて、わたしを見下ろす。
見上げるわたし。
言葉にしなくても分かるよね?
つないだ手から伝わるよね?
わたしの気持ち。
幼馴染みから、彼氏と彼女になった。
あいつとわたし。
『登場人物』
匂坂五十鈴高校1年生 普通の女の子…のはず
白澤 透五十鈴の幼馴染み兼彼氏
穂高千星五十鈴の中学からの友達、五十鈴ラブな人
麻生つかさ五十鈴の友達、超美少女でも内面は…
穂高光星千星の双子の弟
詩帆五十鈴の母
羽澄透の母
勇斗五十鈴の父
馨透の父